1 借地の存続期間と建物譲渡時期の関係
2 存続期間満了の方が遅い組み合わせの例
3 建物譲渡時期の方が遅い組み合わせの例
4 定期借地の期間内の建物譲渡特約(つくば方式)

1 借地の存続期間と建物譲渡時期の関係

建物譲渡特約付借地の契約では,建物譲渡の時期を定めます。
詳しくはこちら|建物譲渡特約付借地の基本(建物譲渡の定めの種類と条項の具体例)
一方,一般的な借地として存続期間(契約期間)も定めます。
本記事では,借地の存続期間と建物譲渡の時期の関係を説明します。
まずはこの2つの期間・時期に関する規定についてまとめます。

<借地の存続期間と建物譲渡時期の関係>

あ 建物譲渡の時期の条文規定

建物を地主に譲渡する時期について
→借地権の設定後30年経過以降の時点である
※借地借家法24条1項

い 建物譲渡の時期と意思表示の組み合わせ

建物譲渡の時期について
『ア・イ』を組み合わせることもできる
ア 経過年数
イ 借地人or地主の意思表示

う 存続期間と建物譲渡時期の関係

『ア・イ』の関係については借地借家法に規定がない
ア 借地の存続期間
イ 建物譲渡の時期

え 存続期間と建物譲渡時期の工夫

存続期間と建物譲渡時期について
→同時にする必要はない
※澤野順彦『実務解説借地借家法』青林書院p151

2 存続期間満了の方が遅い組み合わせの例

借地の存続期間が長く,建物譲渡時期よりも遅く到来するという組み合わせの例を紹介します。

<存続期間満了の方が遅い組み合わせの例>

あ 設定の例
借地権存続期間 40年
建物譲渡時期 30年後に地主が意思表示した時
い 実現する状況

借地開始後30年経過時点において
地主が建物を譲り受ける意思表示をすることができる
→建物譲渡の時点で借地契約が終了する

3 建物譲渡時期の方が遅い組み合わせの例

建物譲渡時期が遅く定められていて,借地の存続期間満了より後に到来するような組み合わせの例を紹介します。

<建物譲渡時期の方が遅い組み合わせの例>

あ 設定の例
借地権存続期間 30年
建物譲渡時期 40年後に地主が意思表示をした時
い 実現する状況

30年後には原則的に借地契約は法定更新となる
詳しくはこちら|借地契約の法定更新|基本|更新拒絶・更新異議・更新請求
借地開始設定後40年経過時点において
地主が建物を譲り受ける意思表示をすることができる

4 定期借地の期間内の建物譲渡特約(つくば方式)

建物譲渡特約付借地の活用の具体例として,国交省が紹介しているものがあります。
定期借地と建物譲渡特約付借地を組み合わせたものです。
建物譲渡時期を存続期間満了よりも大幅に前倒しする設定です。

<定期借地の期間内の建物譲渡特約(つくば方式)>

あ 基本的な方法の枠組み

一般的借地と建物譲渡特約を組み合わせる

い 期間・時期の設定の例
借地権存続期間 60年
建物譲渡時期 30年後に借地人が意思表示をしたとき
う 現実的な効果

当初の借地人の立場について
借地か借家のいずれかが,通算60年間継続する
=60年間は同一建物に居住できることが確約されている
→良質住宅を安価に供給できることにつながる

え 国交省による紹介

『60年間のスケルトン利用権』と称して紹介している
外部サイト|国土交通省|定期借地権の解説