1 入会権×慣習|基本
2 入会権×慣習|構成員の地位取得
3 入会権×慣習|入会権の処分
4 入会権×慣習|『分け地』慣行
5 入会権|会則|世帯主限定×公序良俗
6 入会権|会則|男性限定×公序良俗

1 入会権×慣習|基本

入会権・入会団体に関する法律問題はいろいろとあります。
詳しくはこちら|入会権・入会団体|全体・基本|所有形態
入会権の問題の中には『慣習・公序良俗』に関するものもあります。
特に『慣習』については民法の条文にも規定されています。
まずはこの条文規定をまとめます。

<入会権×慣習|基本>

共有の性質を有する入会権について
→次の『ア・イ』の規律に従う
ア 各地方の慣習
イ 民法の共有の規定
※民法263条

2 入会権×慣習|構成員の地位取得

入会権では慣習が尊重されます(前記)。
構成員の地位取得に関する判例の判断を紹介します。

<入会権×慣習|構成員の地位取得>

いかなる者が構成員となるかという判断
=入会団体の構成員たる地位の取得原因
→もっぱら団体の慣習によって定まる
※最高裁昭和37年11月2日

3 入会権×慣習|入会権の処分

入会権に関して慣習が適用されることは多いです。
『入会権の処分』に関する慣習の適用のケースをまとめます。

<入会権×慣習|入会権の処分>

あ 入会権の処分×慣習の効力

入会権の『処分』について
→『慣習』の効力が及ぶ

い 事案|慣習の内容

構成員全員の同意がなくても処分できる
→有効である
※最高裁平成20年4月14日

4 入会権×慣習|『分け地』慣行

入会団体からの離脱に関する慣習の適用もあります。
『分け地』と呼ばれる慣習・慣行に関する判例を紹介します。

<入会権×慣習|『分け地』慣行>

あ 事案

入会団体に次のような『分け地』という慣行があった

い 『分け地』慣行

入会地の一部を特定の構成員個人に分配する
分配を受けた構成員は次の権限がある
ア 対象部分を独占的に使用収益できる
イ 自由に第三者に譲渡できる

う 『分け地』の法的性格

『分け地』は入会団体の所有ではない
=入会権の対象ではない
※最高裁昭和32年9月13日

5 入会権|会則|世帯主限定×公序良俗

入会権では会則が明確に定められることもあります。
自主的なルールとして,慣習同様に尊重されます。
しかし,完全に自由というわけではありません。
『公序良俗』に反すると無効となることがあります。
会員資格の限定について判断した判例をまとめます。

<入会権|会則|世帯主限定×公序良俗>

入会権者の資格要件について
一家の代表者=世帯主に限定する
→公序良俗に反しない
※民法90条
※最高裁平成18年3月17日

6 入会権|会則|男性限定×公序良俗

会員資格の限定に関する判断はほかにもあります。
前記判例では『男性限定』ルールについても判断されました。

<入会権|会則|男性限定×公序良俗>

あ 会則|男性限定

入会権者の資格を原則として男性に限定する
構成員の男性と婚姻した女性は資格が否定される
女性は離婚して旧姓に復した場合,資格が復活する

い 公序良俗

性別だけを差別の要因にしている
→公序良俗に反する=無効である
時点の基準=遅くとも平成4年以降において
※最高裁平成18年3月17日