1 債務不履行解除→仲介手数料の扱い|判例
2 債務不履行解除→仲介手数料=違約金設定額×3%|判例
3 合意解除→仲介手数料の扱い|判例

1 債務不履行解除→仲介手数料の扱い|判例

不動産の売買契約が締結された後に『解除』されることもよくあります。
この時に,仲介手数料の扱いが問題となります。
詳しくはこちら|売買契約解消×仲介手数料|全体|報酬請求権・相当額・算定
まず『債務不履行による解除』の際の仲介手数料の扱いについて説明します。
一般的に契約を締結した以上,当事者は約束内容を守る,ということが当然の前提です。
つまり,『債務不履行』というのは『想定外』ということです。
仲介業者が行った業務内容とは関係ない事情,という意味です。
そのため,次のように整理されます。

<債務不履行解除→仲介手数料の扱い|判例>

あ 原則的傾向

仲介手数料は発生し,減額されない
『相当額』=『満額』という意味である

い 判例

ア 東京地方裁判所平成23年10月12日
(依頼者の)債務不履行解除
イ 東京高等裁判所平成6年7月19日
ウ 浦和地方裁判所昭和56年3月16日

う 例外

契約締結当初より『債務不履行解除』が想定されていた場合

2 債務不履行解除→仲介手数料=違約金設定額×3%|判例

債務不履行でも仲介手数料相当額が『満額』とは限りません。
当初から『契約が解消される』ことが分かっていたケースです。
売買契約の完結という目的が,確実に期待される状態ではない,ということです。
仲介業務による『成果』が,通常の場合よりも低い,ということです。
対価としての仲介手数料も一定程度低くする,という傾向になります。
具体例(判例)を挙げます。

<債務不履行解除→仲介手数料=違約金設定額×3%|判例>

あ 売買契約締結時の状況

道路位置指定・農地転用許可ができるかどうかが不確実な状態であった
→手付金ゼロとした
→条件が完備された時点で代金を一括して支払うこととされた
→違約金1000万円という条項にした

い 媒介契約に関する特殊事情

違約金の範囲で仲介手数料を算定する旨の合意があった(口頭)

う 売買契約締結後の事情

売主が,売却の条件を整えられなかった=『買主の違約』
売買契約は解消された
売主は買主に600万円を支払った(協議により損害額が考慮・決定された)

え 裁判所の判断|仲介手数料『相当額』の算定

売買の違約金設定額の3%相当額
→1000万円×3%=30万円
※浦和地方裁判所昭和58年12月23日

3 合意解除→仲介手数料の扱い|判例

売買契約締結後,売主・買主の協議により『合意解除』がなされることもあります。
当然ですが,背景に何らかの事情があるはずです。
実質的に債務不履行,ということもあります。
とは言っても,一般的には『債務不履行のような強い解消の必要性』があれば『債務不履行解除』をします。
そうではない,ということは『それほど強い解消の必要性』はなかった,ということです。
ということは『仲介業者の業務の成果』としては不足がなかったと言えます。
仲介手数料のディスカウントはされない傾向です。

<合意解除→仲介手数料の扱い|判例>

あ 原則的傾向

仲介手数料の『相当額』=満額〜8割程度

い 判例

ア 東京地裁平成21年2月26日
『相当額』=8割相当額
イ 東京地裁平成17年3月24日
『相当額』=満額
『仲介業者の義務違反なし』と認定された