1 礼金|内容・性格
2 礼金×有効性|判例|有効
3 礼金×有効性|判例|未経過分のみ無効
4 礼金×有効性|判例|無効
5 礼金×有効性|判断の傾向

1 礼金|内容・性格

建物賃貸借契約では『礼金』のやり取りがなされることが多いです。
法律的に有効性が問題となることもあります。
本記事では礼金についての法的問題を説明します。
まずは基本的な内容や法的性格についてまとめます。

<礼金|内容・性格>

あ 礼金の内容

賃貸借契約締結時に賃借人が賃貸人に支払う金銭

い 礼金の性格

見解によって異なる(後記)
主に次のような性格が挙げられる
ア 賃料の一部前払い
イ 賃借権設定の対価・謝礼

礼金の有効性についてはいろいろな見解があります。
正確には『礼金を支払う約束=特約』の有効性として判断されます。
以下,判断・見解のバラエティを説明します。

2 礼金×有効性|判例|有効

礼金を有効と判断した判例を紹介します。

<礼金×有効性|判例|有効>

礼金は賃料の一部前払としての性格を有する
→有効である
※京都地裁平成20年9月30日

3 礼金×有効性|判例|未経過分のみ無効

礼金のうち一部だけ有効とした判例もあります。

<礼金×有効性|判例|未経過分のみ無効>

あ 事案内容

ア 建物賃貸借|契約内容
・契約期間1年間
・賃料3万円
・礼金12万円
イ 退去時期
賃借人は約1か月で退去した

い 裁判所の判断|礼金の性格

ア メイン=賃料の前払
イ サブ=賃借権設定の対価・謝礼

う 裁判所の判断|結論

未経過分については返還義務がある
→9万円について返還請求を認めた
※大阪簡裁平成23年3月18日

4 礼金×有効性|判例|無効

礼金の全体を無効と判断した判例もあります。

<礼金×有効性|判例|無効>

あ 建物賃貸借|内容

ア 契約期間2年間
イ 賃料16万9000円
ウ 敷金33万8000円
エ 礼金33万8000円
オ 更新料 新賃料の1か月分

い 裁判所の判断

礼金は,何らの対価もない贈与の義務付けである
→無効である
→返還請求を認めた
※消費者契約法10条
※東京地裁平成23年2月24日

5 礼金×有効性|判断の傾向

礼金の有効性については,以上のように見解が分かれています。
見解・判例の傾向をまとめておきます。

<礼金×有効性|判断の傾向>

礼金は賃貸借契約の締結時に支払が行われる
→賃借人は負担・支払を了解して契約締結を決断している
→有効となる傾向が強い