【寄与分|療養看護】

1 療養看護×寄与分|典型例|判断の傾向
2 療養看護×寄与分|判断基準
3 療養看護×寄与分|具体例

1 療養看護×寄与分|典型例|判断の傾向

寄与分の類型の中に療養看護があります。
詳しくはこちら|寄与分|該当性=要件・判断基準|基本
本記事では療養看護としての貢献の判断について説明します。
まずは典型的な判断の傾向をまとめます。

<療養看護×寄与分|典型例|判断の傾向>

あ 高齢化→面倒をみた

原則として『寄与分』に該当しない

い 程度の高い療養・看護

扶養義務の範囲を超えた著しい程度の療養・看護
→『寄与分』に該当する

2 療養看護×寄与分|判断基準

療養看護について寄与分の判断の基準を整理します。

<療養看護×寄与分|判断基準>

あ 特別性

ア 基準 本来有償で第三者を雇用して従事させるような行為
→該当する方向性
イ 典型事例 介護保険における要介護状態にあった
介護保険を利用しなかった
相続人の1人が同居して自己の費用・労力で介護していた
ウ 判例の事例 起居動作が不自由な被相続人を看護・介護する行為
※大阪高裁平成15年5月22日

い 無償性

ア 基本 実質的に判断する
イ 否定方向の事例 父の一方の相続の際に息子Aは相続財産の大半を取得していた
この前提として,母の療養看護をすることを条件としていた
母の相続に関する寄与分→無償性が否定される方向性

う 継続性

少なくとも1年程度を要する

3 療養看護×寄与分|具体例

療養看護で寄与分が認められるケースは多いです。
判例をまとめて紹介します。

<療養看護×寄与分|具体例>

あ 10年間の常時付き添い

ア 事案 約20年間被相続人と同居して扶養した
約10年間は痴呆になり,常に付き添うことが必要とされた
イ 一般的な扶養義務を著しく超えている 支払の逃れた+相続財産の減少を免れた金額=『一般の看護師に依頼した場合の費用』
→看護婦・家政婦紹介所の協定料金から寄与分の金額を算出した
※盛岡家裁昭和61年4月11日

い 被相続人を引き取り,療養看護に努めた

300万円の寄与分を認めた
※広島高裁平成6年3月8日

う 被相続人の扶養を全面的に引き受けた

寄与分を認めた
※大阪家裁昭和61年1月30日

え 『貢献』をカテゴリごとに算定したケース

農業従事・家事労働・療養看護・工員稼働による寄与を個別的に算定して合算した
※盛岡家裁一関支部平成4年10月6日

弁護士法人 みずほ中央法律事務所 弁護士・司法書士 三平聡史

2021年10月発売 / 収録時間:各巻60分

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