1 破産×債権者記載漏れ→免責が及ばない=請求を受けるリスク
2 破産免責×債権者名簿|条文・解釈
3 破産免責×債権者名簿への記載漏れ
4 破産免責×債権者名簿|まとめ
5 債権者記載漏れ発覚後の対応
6 債権者記載漏れ×実務的な金融機関の対応
7 再度の破産・免責申立|注意点=裁量免責・新たに取得した財産

1 破産×債権者記載漏れ→免責が及ばない=請求を受けるリスク

免責決定が確定した後は『支払わなくてよい状態』になるのが通常です。
しかし『債権者名簿への記載漏れ』により債権者から請求を受けるケースもあります。
破産の申立などの手続をしっかり行わなかったことによる事故と言えます。
弁護士でもミスをするケースがあるようです(後記)。
これについての法律的な扱いはちょっと複雑なのです。
以下説明します。

2 破産免責×債権者名簿|条文・解釈

破産の『免責』という制度は『債権者名簿=債権者一覧表』とリンクしています。

<破産免責×債権者名簿|条文・解釈>

あ 原則

免責される

い 例外

債権者名簿(一覧表)に記載のない債権(者)
→事情によって免責されないこともある
※破産法253条

3 破産免責×債権者名簿への記載漏れ

債権者名簿に『債権者を記載し忘れた』場合の効果をパターン別にまとめます。

<破産免責×債権者名簿への記載漏れ>

あ 知っていて債権者名簿に載せなかった

免責されない

い 過失により債権者名簿に載せなかった

免責されない
※神戸地裁平成元年9月7日

う 債権者名簿記載漏れの『過失』が小さい

『記載漏れ』に『免責を認めない』ほどの過失がない
→免責の効力が及ぶ
※神戸地裁平成元年9月7日

え 債権者が破産について知っていた

破産債権者が『破産手続開始決定』を知っていた場合
→免責される
※破産法253条1項6号

4 破産免責×債権者名簿|まとめ

債権者名簿の記載と,破産免責の結果のつながりを整理します。

<破産免責×債権者名簿|まとめ>

あ 免責されない場合

破産者が債権の存在を知っていた+債権者が破産手続を知らなかった

い 免責される場合

『あ』以外

5 債権者記載漏れ発覚後の対応

破産者が後から『債権者記載漏れ』に気付いた場合の対応策をまとめます。

<債権者記載漏れ発覚後の対応>

あ 例外的な『免責が及ぶ事情』を主張する

『過失が小さい』『債権者が知っていた』事情を主張する(前記)
一般的な金融機関は『免責を争わない』ことが多い(後述)

い 破産・免責の申立を再度行う

注意点がある(後述)

6 債権者記載漏れ×実務的な金融機関の対応

一般的な金融機関としては『債権者記載漏れ』を問題視しないことが多いです。

<債権者記載漏れ×実務的な金融機関の対応>

現実的に今後の債権回収が容易という事情がない
→通常は『免責の効果』を受け入れる
→むしろ『欠損処理』を進めることが多い

7 再度の破産・免責申立|注意点=裁量免責・新たに取得した財産

仮に再度の破産・免責の申立をする場合には次のような注意が必要です。

<再度の破産・免責申立|注意点>

あ 免責の注意点

7年以内の免責は『免責不許可事由』となっている
→しかし,裁量免責の可能性は高い
※破産法252条1項10号『イ』,2項

い 新たに取得した財産の配当

最初の免責後に相続などで財産を取得した場合
→破産財団となる
→債権者への配当の対象となる

<参考情報>

弁護士のミスにより債権者記載漏れ
→弁護士の賠償責任保険が認定された事例
※『弁護士賠償責任保険の解説と事例 第5集』全国弁護士協同組合連合会『1−(2)エ』