【試用期間・本採用拒否|合理的理由・相当性】
1 本採用拒否|合理的理由|例|後から発覚
本採用拒否の基準のうち『客観的合理的理由』の内容を説明します。
要するに働くことに都合が悪い事情ということです。
このような事情が『後から発覚した』という経緯が重要です。
本採用拒否|合理的理由|例|後から発覚
あ 基本的事項
次の2つに該当する事情がある場合
→本採用拒否の合理性を認める方向に働く
ア 採用決定(判断)時に知ることができなかったイ 知ることが期待できなかった事由※最高裁昭和48年12月12日三菱樹脂本採用拒否上告事件
い 背景
ア 解約権留保の趣旨採用決定の段階では適格性の有無の判断が不十分
→後日の調査、観察を経て判断可能となる
2 本採用拒否|合理的理由|例|知っていれば採用しない
働くことに都合が悪い事情の『程度』についても重要です。
本採用拒否|合理的理由|例|知っていれば採用しない
あ 基本的事項
発覚した事情を雇用主が採用決定時に知っていたと仮定すると
→雇用主は採用しなかったと言える
い 背景
『解雇』は最終手段である
→労働義務違反の程度が重大であることが必要とされる
=雇用の継続を期待できない程度である
3 本採用拒否|合理的理由|例|客観的に説明可能
働くことに都合が悪い事情は『客観的』である必要があります。
本採用拒否|合理的理由|例|客観的に説明可能
あ 基本的事項
第三者に客観的に説明可能な事由がある
い 具体例
ア 勤務成績不良主観だけではなく、客観的な情報がある
例;客観的数値・従業員間の段階的評価
イ 業務命令を聞かない、協調性に欠ける日時、場所具体的対応の内容などの記録がある
4 本採用拒否|社会通念上相当性|基本
本採用拒否の有効性判断基準の中には『社会通念上相当性』があります(前述)。
この内容についてまとめます。
本採用拒否|社会通念上相当性|基本
あ 解雇回避措置義務
異動や配転等により雇用の存続を図ること
→本採用拒否の場合は弱い
い 公平性
→試用期間中の従業員の範囲内(同士)での比較で足りる
う 是正の努力
改善措置は必要である
例;『注意・指導』など
一方『試用期間満了』というリミットがある
→簡易な『措置』でも十分とされる傾向にある
5 本採用拒否|社会通念上相当性|特徴・注意点
社会通念上の相当性の判断の特徴・注意点をまとめます。
本採用拒否|社会通念上相当性|特徴・注意点
あ 改善措置×業務内容
必要となる改善措置の内容・程度は業務内容によって異なる
=業務内容の性質によって、改善の可能性の判断が変わる
例;業務の危険性が大きい→改善措置の必要性は低くなる
※大阪高裁平成24年2月10日日本基礎技術事件(後記)
い 適正判断のタイミング
適性判断のタイミングも考慮される
最終判断は早い場合『改善の機会』がまだあったと言える
→本採用拒否が無効となる方向性となる
※東京地裁平成21年1月30日ニュース証券事件(後記)
6 試用期間・本採用拒否|事例・判例
試用期間満了時の本採用拒否に関しては多くの事例があります。
判例については別に説明しています。
(別記事『試用期間・本採用拒否|判例』;リンクは末尾に表示)
本記事で指摘した判例についてもこちらで紹介しています。
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。


