政府レベルでしくった2000円札|受取拒否は許される?

1 政府レベルのしくじり;2000円札
2 通貨の強制通用力とは
3 通貨の強制通用力も契約自由には勝てない

Yahoo!ニュースに掲載されました|めったに見かけない「レア物」となった「2千円札」 店は受け取りを拒否してもよい?
詳しくはこちら|金銭の支払金種(現金・電子マネー・ビットコイン)と通貨の強制通用力

1 政府レベルのしくじり;2000円札

政府レベルでのしくじりと言われる2000円札。
2000円札は使いにくいから拒否する,という店舗が増えると,ますます使いにくくなり,拒否する人(店舗)が増える,という正のスパイラルに陥っています。
世間では『まだ108円玉の方が使える』と言われるくらいのdisられようです。

2 通貨の強制通用力とは

『売買代金』などの金銭の支払義務のことを,法的には(金銭)債務と言います。
そして,通常は金銭で支払う(弁済する)ことになります。
純粋な金銭以外に,銀行振込や小切手という支払金種もあり,判例上,原則として弁済として有効と認められています。
この点,紙幣・硬貨については,法貨として法律上明確に保護されています(通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律7条,日本銀行法46条)。
法貨の強制通用力と呼ばれる効果です。
なお,硬貨については,上限が20枚とされています。
紙幣については上限は設定されていません。

一般的な金銭債務について,法貨で提供したのに債権者が受け取りを拒否すると,受領拒否となります。
簡単に言えば,支払済みと同じ扱いになります。
正確には,弁済提供として有効供託できる→弁済と同様の扱いとなる,ということです。

3 通貨の強制通用力も契約自由には勝てない

〜支払はクレジットカードのみ,ビットコインのみ,という設定はOK〜
実際に街中では,『現金を扱わない』店舗も登場してきています。
管理上のリスクを排除する合理的なやり方です。
紙幣・硬貨での支払を拒否するのは『法貨の強制通用力』に反するのではという疑問を持つ方もいらっしゃいます。
しかし,売買などの取引(契約)が成立する前に,支払方法を決める,ということは可能です。
具体的には,店舗で『当店は現金は扱いません』とか『2000円札は扱いません』と掲示しておくことが,売買の条件提示となります。
それを見て会計する(レジに行く)ことで『支払方法の提案を承諾した』=『合意した』ということになります。
この条件は有効となります。
当事者で自由に条件を設定できる原則を契約自由の原則とか私的自治の原則と呼んでいます。
結局,店舗側は『2000円冊を拒否できる』ということになります。
法貨の強制通用力というのは,支払方法(金種)の指定がなかった場合に発動されるのです。

<『法貨の強制通用力』の意味|まとめ>

『支払金種が指定さえていない場合』に法貨の弁済は有効になる→◯
『支払金種が指定されている』場合に,指定外の法貨の弁済が有効になる→☓
支払金種の指定の中から法貨を除外してはいけない→☓

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