【資金決済法63条の10(利用者保護措置)と内閣府令・ガイドラインの条文規定】

1 利用者保護措置に関する条文規定
2 資金決済法の利用者保護の規定
3 内閣府令の利用者保護の規定(16条)
4 内閣府令の利用者保護の規定(17条)
5 内閣府令の利用者保護の規定(18条)
6 内閣府令の利用者保護の規定(19条)
7 ガイドラインの利用者保護の規定

1 利用者保護措置に関する条文規定

仮想通貨交換業の業務に関する規制について,資金決済法と内閣府令に規定があります。
これらの情報のソースは別の記事にまとめてあります。
詳しくはこちら|仮想通貨交換所の規制(平成28年改正資金決済法)の全体像
これはPDFなので読みにくいと思います。
本記事では,業務に関する規定のうち利用者保護の措置に関する,資金決済法と内閣府令の条文規定をまとめます。

2 資金決済法の利用者保護の規定

<資金決済法の利用者保護の規定>

(利用者の保護等に関する措置)
第六十三条の十
仮想通貨交換業者は、内閣府令で定めるところにより、その取り扱う仮想通貨と本邦通貨又は外国通貨との誤認を防止するための説明、手数料その他の仮想通貨交換業に係る契約の内容についての情報の提供その他の仮想通貨交換業の利用者の保護を図り、及び仮想通貨交換業の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければならない。
※資金決済法63条の10

3 内閣府令の利用者保護の規定(16条)

<内閣府令の利用者保護の規定(16条)>

(仮想通貨と本邦通貨又は外国通貨との誤認防止)
第十六条
仮想通貨交換業者は、仮想通貨交換業の利用者との間で仮想通貨の交換等を行うときは、あらかじめ、当該利用者に対し、書面の交付その他の適切な方法により、取り扱う仮想通貨と本邦通貨又は外国通貨との誤認を防止するための説明を行わなければならない。
2 仮想通貨交換業者は、前項に規定する説明を行う場合には、次に掲げる事項を説明するものとする。
一 取り扱う仮想通貨は、本邦通貨又は外国通貨ではないこと。
二 取り扱う仮想通貨が、特定の者によりその価値を保証されていない場合は、その旨又は特定の者によりその価値を保証されている場合は、当該者の氏名、商号若しくは名称及び当該保証の内容
三 その他取り扱う仮想通貨と本邦通貨又は外国通貨との誤認防止に関し参考となると認められる事項
3 仮想通貨交換業者は、その営業所において、仮想通貨交換業の利用者と仮想通貨交換業に係る取引を行う場合には、前項第一号及び第二号に掲げる事項を当該利用者の目につきやすいように窓口に掲示しなければならない。
※仮想通貨交換業者に関する内閣府令16条

4 内閣府令の利用者保護の規定(17条)

<内閣府令の利用者保護の規定(17条)>

(利用者に対する情報の提供)
第十七条
仮想通貨交換業者は、仮想通貨交換業の利用者との間で仮想通貨交換業に係る取引を行うときは、あらかじめ、当該利用者に対し、書面の交付その他の適切な方法により、次に掲げる事項についての情報を提供しなければならない。
一 当該仮想通貨交換業者の商号及び住所
二 仮想通貨交換業者である旨及び当該仮想通貨交換業者の登録番号
三 当該取引の内容
四 取り扱う仮想通貨の概要
五 取り扱う仮想通貨の価値の変動を直接の原因として損失が生ずるおそれがあるときは、その旨及びその理由
六 前号に掲げるもののほか、当該取引について利用者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事由を直接の原因として損失が生ずるおそれがあるときは、その旨及びその理由
七 法第六十三条の十一第一項に規定する管理する方法及び次のイからニまでに掲げる区分に応じ、当該イからニまでに定める者の氏名、商号又は名称
イ 第二十条第一項第一号に掲げる方法 銀行等(法第二条第十七項第二号に規定する長期信用銀行を除く。)又は外国の法令に準拠し、外国において銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第十条第一 項第一号に掲げる業務を行う者(第二十条第一項第一号及び第三十条第二項第一号において『預金銀行等』という。)ロ 第二十条第一項第二号に掲げる方法 信託業務を営む金融機関又は外国の法令に準拠し、外国において信託業務を行う者(第二十条第一項第二号、第二十一条第一項第一号及び第三十条第二項第二号 において『信託業務を営む金融機関等』という。)ハ 第二十条第二項第一号に掲げる方法 当該仮想通貨交換業者ニ 第二十条第二項第二号に掲げる方法 同号に規定する第三者 八 利用者が支払うべき手数料、報酬若しくは費用の金額若しくはその上限額又はこれらの計算方法
九 利用者からの苦情又は相談に応ずる営業所の所在地及び連絡先
十 当該取引が外国通貨で表示された金額で行われる場合においては当該金額を本邦通貨に換算した金額及びその換算に用いた標準又はこれらの計算方法
十一 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める事項
イ 指定仮想通貨交換業務紛争解決機関が存在する場合 当該仮想通貨交換業者が法第六十三条の十二 第一項第一号に定める手続実施基本契約を締結する措置を講ずる当該手続実施基本契約の相手方である指定仮想通貨交換業務紛争解決機関の商号又は名称
ロ 指定仮想通貨交換業務紛争解決機関が存在しない場合 当該仮想通貨交換業者の法第六十三条の十 二第一項第二号に定める苦情処理措置及び紛争解決措置の内容
十二 その他当該取引の内容に関し参考となると認められる事項
2 仮想通貨交換業者は、仮想通貨交換業の利用者との間で仮想通貨交換業に係る取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約を締結するときは、あらかじめ、当該利用者に対し、書面の交付その他の適切な方法により、次に掲げる事項についての情報を提供しなければならない。
一 前項第一号から第十一号までに掲げる事項
二 契約期間の定めがあるときは、当該契約期間
三 契約の解約時の取扱い(手数料、報酬又は費用の計算方法を含む。)
四 その他当該契約の内容に関し参考となると認められる事項
3 仮想通貨交換業者は、その行う仮想通貨交換業に関し、仮想通貨交換業の利用者から金銭又は仮想通貨 を受領したときは、遅滞なく、当該利用者に対し、書面の交付その他の適切な方法により、次に掲げる事 項についての情報を提供しなければならない。
一 仮想通貨交換業者の商号及び登録番号
二 当該利用者から受領した金銭の額又は仮想通貨の数量
三 受領年月日
4 仮想通貨交換業者は、仮想通貨交換業の利用者との間で仮想通貨交換業に係る取引を継続的に又は反復して行うときは、三月を超えない期間ごとに、当該利用者に対し、書面の交付その他の適切な方法により、取引の記録並びに管理する利用者の金銭の額及び仮想通貨の数量についての情報を提供しなければならない。
※仮想通貨交換業者に関する内閣府令17条

5 内閣府令の利用者保護の規定(18条)

<内閣府令の利用者保護の規定(18条)>

(その他利用者保護を図るための措置)
第十八条
仮想通貨交換業者は、その行う仮想通貨交換業に関し、仮想通貨交換業の利用者の保護を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 仮想通貨交換業者が、その行う仮想通貨交換業について、仮想通貨の特性、取引の内容その他の事情に応じ、利用者の保護を図るために必要な体制を整備する措置
二 仮想通貨交換業者が、その行う仮想通貨交換業について、捜査機関等から当該仮想通貨交換業に係る取引が詐欺等の犯罪行為に利用された旨の情報の提供があることその他の事情を勘案して犯罪行為が行 われた疑いがあると認めるときは、当該取引の停止等を行う措置
三 仮想通貨交換業者が、電気通信回線に接続している電子計算機を利用して、利用者と仮想通貨に係る取引を行う場合にあっては、当該利用者が当該仮想通貨交換業者と他の者を誤認することを防止するた めの適切な措置
四 仮想通貨交換業者が、利用者から電気通信回線に接続している電子計算機を利用して仮想通貨交換業に係る取引に係る指図を受ける場合にあっては、当該指図の内容を、当該利用者が当該指図に係る電子計算機の操作を行う際に容易に確認し及び訂正することができるようにするための適切な措置
※仮想通貨交換業者に関する内閣府令18条

6 内閣府令の利用者保護の規定(19条)

<内閣府令の利用者保護の規定(19条)>

(社内規則等)
第十九条
仮想通貨交換業者は、その行う仮想通貨交換業の業務の内容及び方法に応じ、仮想通貨交換業の利用者の保護を図り、及び仮想通貨交換業の適正かつ確実な遂行を確保するための措置(当該仮想通貨交 換業者が講ずる法第六十三条の十二第一項に定める措置の内容の説明及び犯罪を防止するための措置を含む。)に関する社内規則等を定めるとともに、従業者に対する研修、委託先に対する指導その他の当該社内規則等に基づいて業務が運営されるための十分な体制を整備しなければならない。
※仮想通貨交換業者に関する内閣府令18条

7 ガイドラインの利用者保護の規定

事務ガイドライン(仮想通貨交換業ガイドライン)では,利用者保護に関する内閣府の規定(前記)に関する解釈を示しています。

<ガイドラインの利用者保護の規定>

II-2-2 利用者保護のための情報提供・相談機能等
II-2-2-1 利用者保護措置
II−2−2-1-1 意義
法第63条の10及び内閣府令第16条から第19条までは、仮想通貨交換業者に対し、仮想通貨交換業に係る取引開始時又は契約締結時の利用者に対する情報提供、金銭又は仮想通貨等受領時の受領情報の提供、その他利用者保護を図るための措置を義務付けている。
仮想通貨交換業者の監督に当たっては、利用者保護のための態勢整備の適切性を確認するため、ヒアリング等の日常の監督事務を通じて、仮想通貨交換業に係る取引の内容を把握するとともに、例えば、以下の点に留意するものとする。
II−2−2-1-2 主な着眼点
(1)一般的な着眼点
①利用者に対する説明や情報提供を行うに当たっては、取り扱う仮想通貨や取引形態に応じて、内閣府令第16条第1項及び第2項各号、第17条第1項各号及び第2項各号並びに第4項に規定された事項を説明する態勢が整備されているか。
さらに、当該利用者の知識・経験に照らし、必要に応じて書面を交付(電磁的方法を含む)した上で説明を行うこととするなど、適切に情報提供が行われる態勢を整備しているか。
(注)取引形態に応じた説明態勢としては、例えば、インターネットを通じた取引の場合には、利用者がその操作するパソコンの画面上に表示される説明事項を読み、その内容を理解した上で画面上のボタンをクリックする等の方法、対面取引の場合には書面交付や口頭による説明を行った上で当該事実を記録しておく方法が、それぞれ考えられる。
②利用者に対する情報提供義務、受領情報提供義務等、法令において定められている利用者保護措置について社内規則等を定め、役職員が当該社内規則等に基づき適切な取扱いを行うよう、社内研修等により周知徹底を図っているか。
③利用者保護措置の実効性を確保するため、内部管理・内部監査等の内部けん制機能は十分発揮されているか。
④利用者保護措置の実効性の検証を踏まえて、仮想通貨交換業に係る業務の態勢を見直すこととしているか。
⑤苦情・相談態勢の整備に当たっては、事務処理ミスがあった場合等の手続きが明確に規定され、円滑に処理される態勢が整備されているか。
(2)利用者に対する情報の提供
①内閣府令第16条第1項及び第2項各号、第17条第1項各号及び第2項各号並びに第4項に規定された事項について、利用者の知識、経験等を勘案して、取引形態に応じて、適切に説明を行っているか。
(注1)仮想通貨交換業者が、その行う仮想通貨交換業に関して、レバレッジ取引を提供する場合、利用者は提供されるレバレッジ倍率に比例して高額の損失を被るリスクを負うこととなるため、例えば、当該レバレッジ取引によるリスクの大きさ等も適切に説明することが考えられる。
(注2)内閣府令第17条第1項第6号に基づき説明する事項としては、例えば、仮想通貨の特性(電子機器その他の物に電子的方法により記録される財産的価値であり、電子情報処理組織を用いて移転するものであること)や、サイバー攻撃による仮想通貨の消失・価値減少リスクがあることが考えられる。
②利用者が当該仮想通貨交換業者以外の者に対しても手数料、報酬若しくは費用(以下『手数料等』という。)を支払う必要がある場合には、当該委託先に対するものも含めて手数料等の総額若しくはその上限額又はこれらの計算方法を説明しているか。
③手数料等の実額ではなく上限額や計算方法のみを説明する場合には、利用者が実際に支払うこととなる手数料等の総額の見込み額又は計算例を併せて説明することとしているか。
④法第63条の10及び内閣府令第17条の趣旨を踏まえ、同条第1項第12号に規定する事項として、利用者が当該仮想通貨交換業に係る取引に係る契約を締結するか否かの判断を行うに際して、参考となる事項を必要に応じて説明しているか。
(注)内閣府令第17条第1項第12号に基づき説明する事項としては、例えば、以下の事項が考えられる。
・仮想通貨交換業に係る取引に関する金銭及び仮想通貨の預託の方法
・当該取引に関する金銭及び仮想通貨の状況を確認する方法
⑤内閣府令第17条第2項第4号に規定する事項として、利用者が口座開設契約等を締結するか否かの判断を行うに際して、参考となる事項を必要に応じて説明しているか。
(注)内閣府令第17条第2項第4号に基づき説明する事項としては、例えば、以下の事項が考えられる。
・上記4(注)に掲げた事項
・暗証番号の設定その他のセキュリティに関する事項
・口座開設契約等により、利用者ごとに仮想通貨交換業者が受け入れられる金額に上限がある場合には、当該上限金額
⑥利用者保護のための制度として利用者が預託した金銭・仮想通貨と仮想通貨交換業者自らの財産との分別管理義務が設けられている旨及び利用者が預託した金銭・仮想通貨の分別管理の方法を具体的に説明しているか。
(3)受領情報の提供
①提供する情報の記載内容は、利用者にとって明確でわかりやすい記載内容となっているか。
②書面の交付に代えてその他適切な方法により提供することについて、承諾又は撤回の意思表示を受ける場合には、利用者の承諾等があったことを記録しているか。
(4)非対面取引を行う際の措置
①ホームページのリンクに関し、利用者が取引相手を誤認するような構成になっていないか。また、フィッシング詐欺対策については、利用者がアクセスしているサイトが真正なサイトであることの証明を確認できるような措置を講じる等、業務に応じた適切な不正防止策を講じているか。
②利用者が仮想通貨交換業に係る取引についての指図内容を仮想通貨交換業者に送信する前に、当該指図内容を表示した上で利用者に対して内容の確認を求めるなど、利用者が仮想通貨交換業に係る取引に関する指図内容を容易に確認・訂正できるような対応を行っているか。
(5)利用者保護のための態勢整備
仮想通貨交換業者は、内閣府令第18条各号に基づき、その行う仮想通貨交換業に関して、仮想通貨の特性、取引の内容その他の事情に応じ、仮想通貨交換業の利用者の保護を図るために必要な態勢を整備する措置等を講じる必要がある。
(注)仮想通貨交換業者が、その行う仮想通貨交換業に関して、レバレッジ取引を提供する場合には、利用者は提供されるレバレッジ倍率に比例して高額の損失を被るリスクを負うこととなるため、利用者保護のための態勢整備として、例えば、仮想通貨の特性や取引内容に応じて、適切なレバレッジ倍率やロスカットルール等を設定することが考えられる。
※仮想通貨交換業ガイドライン『II-2-2 利用者保護のための情報提供・相談機能等』・p16〜19

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【資金決済法63条の9(委託先に対する指導)と内閣府令の条文規定】
【資金決済法63条の11(利用者財産の管理)と内閣府令の条文規定】

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