【海上風力発電×法規制|建築基準法・自然公園法・港湾法・海岸法・漁業権・海洋法条約】

1 海上風力発電|陸上の設備との違い
2 海上風力発電×建築基準法
3 海上風力発電×自然公園法
4 海上風力発電×港湾法・海岸法
5 海上風力発電×漁業権
6 海上風力発電×国連海洋法条約

海上の風力発電事業に関する法律問題を説明します。

1 海上風力発電|陸上の設備との違い

海上の風力発電設備は,地上の設備と同様の規制対象となるものが多いです。
地上の風力発電事業に関する法律問題は別記事でまとめています(リンクは末尾に表示)。
一方『海上』限定での規制もあります。
本記事では『海上』であることによる規制についてまとめます。

2 海上風力発電×建築基準法

『海上』に設置された設備が建築基準法の対象になるかどうかは,以前は曖昧でした。
これについては平成元年の通達で行政解釈が統一されています。

<海上風力発電×建築基準法>

海上の建築物も建築基準法の適用対象となる
※平成元年1月19日建設省住指発第5号『海上建築物について』

3 海上風力発電×自然公園法

海上でも『自然公園法』の適用となる場合があります。

<海上風力発電×自然公園法>

国立公園・国定公園の『海域公園地区』指定エリア
→『工作物の新築』に該当する
→環境大臣or都道府県(知事)の許可が必要
※自然公園法22条3項1号,20条3項1号

4 海上風力発電×港湾法・海岸法

海上の一定のエリアは港湾法・海岸法の規制の対象となっています。

<海上風力発電×港湾法・海岸法>

『港湾地区・港湾隣接地域』指定エリア
→『港湾の開発・利用or保全に著しく支障を与えるおそれがある』に該当する
→港湾管理者の許可が必要
※港湾法37条1項,2条3項
施設の新設・土地の掘削・盛土・切土など
→許可が必要な場合がある
※海岸法8条1項

5 海上風力発電×漁業権

『漁業権』という私的な=民間の権利があります。
海上風力発電事業では漁業権との抵触も生じることがあります。

<海上風力発電×漁業権>

ある者が『漁業権』を有する土地の利用
→権利者の承諾が必要
※漁業法23条1項

6 海上風力発電×国連海洋法条約

海上では『日本の法律の適用』の範囲が問題になります。

<海上風力発電×国連海洋法条約>

経済的排他水域(EEZ)
→日本の法律が適用される
※排他的経済水域及び大陸棚に関する法律3条1項
※国連海洋法条約56条1項『a,b』

<参考情報>

高橋滋『震災・原発事故と環境法』民事法研究会p54〜187
豊永晋輔『NBL』963号商事法務p24

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