【将棋・チェス×テクノロジー|棋士vsコンピュータ|王者vsワールド|集合知】
1 将棋|平安時代にさかのぼる伝統的戦(いくさ)シミュレーションゲーム
将棋は、和室と着物が象徴とされる、日本の伝統的な戦シミュレーションゲームです。
本質的に偶然の要素はなく、個人の思考能力で勝負するゲームです。
平安時代頃から日本の各地で、手軽なレクリエーションとして多くの方に楽しまれてきました。
(日本への伝来時期は諸説があり、判例等の統一的公式見解はない)
2 将棋×テクノロジー|棋士vsコンピュータ=電脳戦
従前、人々の趣向の多様化により、将棋人口は減りつつありました。
しかし最近、改めて注目されるべき状況が訪れています。
伝統、個人競技であるはずの将棋界に、コンピュータの活躍の領域が広がってきています。
『人間対コンピュータの対戦』は、日頃将棋に興味を持たない者をも含めて強い関心を得ています。
なお、これは比喩であり『棋士対プログラマ』という人間同士の戦い、というのが本質でしょう。
しかし、個々の対局の勝敗と、今後の将棋の発展は別です。
今後の将棋の発展の流れ
| 『コンピュータに勝つ/負ける』 | ☓ |
| 『将棋の対局』というコンテンツ消費の拡大 | ◯ |
| 『コンピュータやそのプログラムの発展』の土俵(盤) | ◯ |
3 将棋×テクノロジー|電脳戦の発展|ルール設定でおもしろさ最適化
『勝ち負け』自体と言うよりも『見る人の興味の最大化』が図られていくことが期待されます。
コンテンツ提供としての最適化とも言えます。
『条件・ルールの設定』によって『ハラハラする勝負・良い勝負』を作る、という意味です。
アイデアの例をまとめます。
電脳戦|おもしろさアップ・アイデア
あ 基本方針
『条件設定の工夫』を究める
い 条件設定|例
コンピュータ側に次のような制限を加える
ア 消費電力制限イ 温度(発熱)制限ウ ネットワーク利用制限
4 将棋・チェス×『インターネッツ集合知』|カスパロフvsワールドin1999
将棋ではなく『チェス』ですが、テクノロジーとの組み合わせの実例を紹介します。
『集合知』という将来活用が期待される手法の研究と直結しています。
『カスパロフvsワールド』in1999
あ 対戦者
| チェス王者(当時) | 挑戦者 |
| ガルリ・カスパロフ | 『ワールド・ティーム』 |
い 『ワールド・ティーム』|投票システム
75か国以上に散在する一般プレイヤー約5万人
→インターネッツで『次の1手』を投票する
→得票数が最大の『次手』が選択される
う 『ワールド・ティーム』|協議システム
各プレイヤーは投票前にインターネッツ上で協議しても良い
え アマチュア×セミプロ→プロに匹敵現象
インターネッツ上の意見交換=協議で『リーダー』が登場した
ア リーダーアイリーナ・クラッシュ;元・全米女子王者;当時15歳
イ リーダーの役割うpされた多くの候補手の『評価→位置付け・整理』のコメントを行った
お 勝負の行方
最終的には王者カスパロフが勝利した
しかし『辛勝』と言える戦局であった
《カスパロフのコメント》
『今までのゲームで、これほどエネルギーを使ったゲームはない』
※参考情報後記
5 将棋・チェス×『インターネッツ集合知』|チェス王者vsワールドin1996
カスパロフvsワールドは非常に興味深い対戦でした。
それ以前に、これと似ている対戦が行なわれています。
この2つの『違い』が、集合知の研究テーマとなっています。
『チェス王者vsワールド』in1996
あ システムの違い
システムは次の点以外は1999と同様であった
《システムの違い》
投票時間が短い=1手あたり10分
→『投票前にプレイヤーの意見交換』が実質的に不可能
い 勝負の行方
王者の『圧勝』
※参考情報後記
6 将棋・チェス×テクノロジー|インターネッツ×集合知|民主制の検討
2つの『チェス王者vsワールド・ティーム』のゲームから有益な現象が読み取れました。
『民主制』の効率化につながる研究テーマと言えます。
2つの『ワールド対戦』から判明したこと
あ 複雑な意思決定の実効性・効率性アップ
次の要件が揃うと強烈な実効性・効率を獲得できる
ア アマチュアの集合知イ 適切な専門的リーダーの助言ウ 熟議を尽くす
い 多い船頭→船山に登る現象
『アマチュア(素人)の集合知』の多数決だけの場合
→適切ではない結論に達する(選択してしまう)
=『直接民主制』が構造的に抱える問題
≒『お手軽だけのネット投票』の問題点
※参考情報後記
このように将棋・チェスは、現在、単なる伝統的レクレーションという立場に収まっていないのです。
テクノロジーの進化・社会の発展にいろいろな形で結びついているのです。
関連性は薄いですが、参考として『船頭の多い』として話題になっているホテルがあります。
外部サイト|サンクルーズホテルinS.Korea
参考情報
Wedge15年5月p88『集合知とネット民主主義』
ハーバード・ビジネスレビュー13年9月『集合知のちから』
東京大学名誉教授 西垣通氏
7 将棋×テクノロジー|『人間の脳のメカニズム』の研究
将棋とサイエンス・テクノロジーとの結びつきはまだあります。
『プロ棋士』の思考能力が卓越していることも研究テーマになっています。
脳の働き方を機能的磁気共鳴画像測定(fMRT)や脳波測定で分析・解析する実験が行われています。
一般の方との違いも発見されており、今後、人工知能・人間型コンピュータの開発につながることが期待されています。
8 将棋×テクノロジー→『愉しみ』の広がり
以上のように、将棋というリクリエーションは、コンピュータの登場により、新たなステージに入りました。
今まで以上に面白みが出てきているとともに、科学・技術の発展にもつながるという様相を見せています。
『愉しむ』方法も大きく拡がることが期待されます。
『将棋の愉しみ』発展の具体例
あ リクリエーションとしての発展
ア 高齢者社会における『老後』の過ごし方の一環イ コンピュータの登場による若年層ファンへの拡がりウ 女性棋士(女流棋士)の活躍→女性ファンへの拡がり
い 棋士とファンの『オンライン×オフライン』コミュニケーション
ア オンライン電子書籍、SNS
イ オフライン・講演・ライブ解説
・飲食店とのコラボ
例;『道場』より気軽な将棋バー、将棋カフェ
う 棋士vsコンピュータ
『条件設定の工夫』を究める(前述)
え タッグティーム制導入|例(※1)
ア 『プロ棋士+コンピュータ』のタッグイ 複数のプロ棋士のタッグティーム
お 『集合知』活用対戦
例;『プロ棋士』vs『オープンネットワーク』
ネット上で次の1手を募集し、最多の手を採用(前述)
『複数のプロ棋士がタッグを組む』の問題点(上記※1)
ア 伝統との兼ね合いイ 見解の不一致時の対処(仲間割れ)→紛争的
本記事は一般的な説明です。個別の事案にそのまま当てはまるとは限らず、一見似ている事案でも、事情が異なれば結論は異なります。個別的事情により、法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。本記事でご説明したものと同様の問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。


