1 自転車の2人乗りは道交法違反となる
2 自転車には指定速度は適用されない
3 自転車よりも原付の方が上限速度が低い,という現象もある
4 速度指定がない場合の自転車の速度の上限
5 自転車の交通違反の典型例|まとめ
6 自転車の交通違反の特殊性|『反則金制度』がない

1 自転車の2人乗りは道交法違反となる

自転車の2人乗りは,原則的に違法となります(道交法57条2項)。
ただし,幼児や特殊な自転車など,例外があります。

このルールは,都道府県の公安委員会が定めています。
全国で概ね同様ですが,都道府県によって細かい違いもあります。
以下,東京都と埼玉県における規定を説明します。

<前提>

あ 2輪の自転車,3輪の自転車

 これら以外の自転車やその他の軽車両については違う扱いとなります。

い 公道の走行

 自転車専用道路の場合は違う扱いとなります。

(1)大人の自転車2人乗り

幼児だけは特別な扱いがあります(後述)。
少なくとも6歳以上は特別扱いの対象外です。
いずれにしても,幼児の特別扱いを受けない者についての複数乗車についてまとめます。

↓自転車の種類 東京都道路交通規則 埼玉県道路交通法施行細則
2輪の自転車 運転者以外=NG 運転者以外=NG
根拠条文 10条(1)ア 8条(1)ア本文
3輪の自転車 乗車装置に応じた人数=OK 運転者以外=NG
根拠条文 10条(1)ア(エ) 8条(1)ア本文

(2)自転車に幼児を乗せる場合の乗車人数

これは東京,埼玉で多少違います。
ちょっと複雑なので次にまとめます。
※東京都道路交通規則10条(1)ア,ウ
※埼玉県道路交通法施行細則8条(1)

<最大の乗車人数と年齢>

運転者(人) 幼児用座席(人) 背負(人) 適法性
OK
OK
NG
NG
↓下限年齢 ↓上限年齢 ↓上限年齢 ↓対象エリア
16歳以上 6歳未満 6歳未満 東京都
16歳以上 6歳未満 4歳未満 埼玉県

<共通事項>

ア 2輪,3輪の区別はありません。
イ 『児童用座席×2』については,自転車に特別の構造,装置が必要です。
ウ 背負う場合,子守バンド等で確実に固定することが必要です。

(4)乗車オーバーの罰則

乗車人数に違反した場合,道交法に罰則が規定されています。
これは法定刑です。
実際には警察官の注意,警告で済ませる,という運用が多いです。
もちろん,違法な乗車を推奨するわけではありません。

<自転車の乗車人数違反の法定刑>

※道交法57条2項,121条7号
2万円以下の罰金または科料

2 自転車には指定速度は適用されない

自転車は道路交通法上,軽車両とされます(道交法2条1項8号)。
速度指定は,軽車両を含めた車両一般に適用されます(道交法22条)。
速度指定は,一般に,標識(マル囲みの数字)や路面上に書かれた数字(速度)のことです。
例えば規制速度の指定として50(キロ)という標識がある場所では,自転車も50キロが制限速度となります。
自転車が50キロを超えて走行すると速度超過の違反となります。
速度指定がない場合は,形式的には速度の上限はないことになります。

<まとめ>

自転車(軽車両)のスピード制限
・速度指定がある道路→その速度が最高速度
・速度指定がない道路→制限なし(※1)
※1 現実に非常識な走行が許されるわけではありません。

3 自転車よりも原付の方が上限速度が低い,という現象もある

法定速度は,自動車が60キロ,原付が30キロとされています(道路交通法施行令11条)。
仮に,速度指定が40キロだとすれば,自動車の上限は40キロとなります。
そして,原付の上限は30キロのままです。要は,速度指定と法定速度で下が優先だからです。
ここで,自転車は,元々法定速度がないので,速度指定ストレートで,上限は40キロ,ということになります。

このような道路で,自転車と原付が40キロで並走している場合,原付だけが違反,となります。
原付のライダーは自転車と並走していた→違法だとは思えない,という言い訳は通用しないでしょう。

4 速度指定がない場合の自転車の速度の上限

確かに,自転車には法定速度が設定されていません。
規制速度がない場合,形式的には法規制なしの状態になります。

しかし,あくまでもこれは形式的な速度規制(上限)の話しです。
道路状況の変化に安全に対応できないような暴走状態であれば,他人に危害を及ぼす速度として,安全運転義務違反(道交法70条)に該当することもあります。

5 自転車の交通違反の典型例|まとめ

自転車の運転者は交通ルールをしっかりと把握していない傾向があります。
うっかりと抵触してしまうことが多い,自転車に関する交通違反をまとめます。

<典型的な自転車の道交法違反>

違反行為 法定刑 道交法
信号無視 懲役3月以下or罰金5万円以下 119条1項1号の2
右側通行 懲役3月以下or罰金5万円以下 119条1項2号の2
無灯火運転 罰金5万円以下 120条1項5号
酒酔い運転 懲役5年以下or罰金100万円以下 117条の2第1号
2人乗り 罰金5万円以下 120条1項10号
並進通行 罰金2万円以下or科料 121条1項5号
制動装置不適合 罰金5万円以下 120条1項8号の2

自転車の飲酒運転については別記事で説明しています。
詳しくはこちら|飲酒運転|酒気帯びor酒酔いの違い|自転車にも適用される

<参考情報>

月報司法書士15年4月p73

6 自転車の交通違反の特殊性|『反則金制度』がない

(1)自動車における反則金制度

自動車・原付の場合,交通違反があっても,その大半については,反則金制度が適用されます。
反則金を払えば,刑事手続は避けられるというものです。
いわゆる青切符を切られた状態です。

本来,道路交通法違反のような行政刑罰の対象は,(不起訴にならない限りは)刑事裁判を受けるのが原則です。
略式起訴も含めて起訴されるのが原則なのです。

しかし,交通違反は実数が著しく多いので,この原則を徹底すると国民総前科となります。
そこで,反則金の支払を条件に,刑事手続を避けられるようなシステムが運用されているのです。

(2)自転車には反則金制度が適用されない

自転車(軽車両)については,反則金制度の想定外です。

運転免許制度の対象外となっていることとリンクしています。
いずれにしても,自転車で交通違反を行った場合は,不起訴とならない限り,原則どおり,罰金や懲役刑が求められます。

つまり,略式起訴や公判請求(正式裁判)となるのです。
逆に,ちょっと重い処理しかないので,検挙に躊躇するという傾向もありました。
しかし,最近は,自転車による事故・被害が増加しており,警察としては,自転車(ライダー)に対しても,姿勢を厳しくする方針を取っています。