1 私道×第三者の通行権
2 位置指定道路・2項道路|法的性格
3 私道の通行禁止措置・具体例
4 第三者の通行権を認める要件(平成9年判例)

1 私道×第三者の通行権

私道を所有者以外が通行する状況もあります。
通行する権利に関してまとめます。

<私道×第三者の通行権>

あ 現況

『私道』は通常『位置指定道路』や『2項道路』である
所有者でも建造物を建てられない
詳しくはこちら|建築基準法・『道路』|建築制限・管理・私道廃止
見た目は,いわゆる『道』そのものである
第三者もその『所有権』ということを意識せずに通行しがちである
しかし『通行する権利』の有無は別問題である

い 私道×第三者の通行権

私道を第三者が通行する権利は認められない
※最高裁平成9年12月18日

2 位置指定道路・2項道路|法的性格

私道が建築基準法の『道路』となっていることも多いです。
詳しくはこちら|建築基準法の『道路』|種類
このような私道の法的性格を整理します。

<位置指定道路・2項道路|法的性格>

あ 建築制限

建造物を建築,設置できない
→道路として管理することになる

い 第三者の利用権利はない

原則として第三者が通行,利用するという権利はない
『通行できる状態』は建築制限の反射的効果=結果論である

う 法的性格の違い

建築基準法は公的なルールである
※建築基準法1条
→民間・私人同士のルール・権利を決めるものではない

3 私道の通行禁止措置・具体例

私道は,特定の個人の所有物です。
第三者が無断で自由に利用できるわけではありません(前述)。
私道所有者は,原則的に第三者の通行・利用を制限できます。
具体的方法の例を示します。

<私道の通行禁止措置・具体例>

あ 原則

私道の所有者は第三者の通行を禁止することができる
次の『い・う』のような具体的方法がある

い 物理的な通行禁止措置

ア 立て看板
『関係者以外立ち入り禁止』という立て看板を掲げる
イ ICタグ
自動改札のようなゲートを設置する
ICタグを持った関係者だけが通行できるようにする

う 対人的な通行禁止措置

特定の通行者に対して通行禁止を請求する
ア 通知
イ 調停・訴訟

4 第三者の通行権を認める要件(平成9年判例)

私道について第三者の通行権が例外的に認められることもあります。
この『例外』に該当する状況(要件)について,平成9年の最高裁判例が示しています。

<第三者の通行権を認める要件(平成9年判例)>

あ 要件(前提事情)

『ア〜ウ』のすべてに該当する
ア 道路の現況
道路が現実に開設されている
例;長期間,自由に誰でも通行できる状態が続いている
イ 日常生活上不可欠の利益
道路を通行することについて
通行者は日常生活上不可欠の利益を有する
例;通行者の日常生活に溶け込んでいる
ウ 特段の事情がない
次のような特段の事情がない
・敷地所有者が通行を受忍することによって著しい損害を被る
・敷地所有者が受ける損害が通行者の通行利益を上回る

い 結論

通行者は敷地所有者に対して次の請求ができる
ア 妨害行為の排除
イ 将来の妨害行為の禁止を求める

う 法的根拠

人格権的権利
※最高裁平成9年12月18日

以上の理論は,噛み砕いて言うと次のようになります。
『今まで使わせてくれたじゃないか。急にダメと言われても困るよ』という意味です。
既成事実が優先される結論です。
逆に言えば,私道管理をしっかりと行っておけばこのような結果は生じません。