1 土地区画整理事業の意義と減価補償金
2 土地区画整理事業の意義
3 土地区画整理事業の施行者
4 減価補償金の趣旨と法的性質
5 減価補償金の対象となる事業(施行者)
6 減価補償金の金額算定

1 土地区画整理事業の意義と減価補償金

快適な都市を実現するために,土地区画整理事業が行われます。
この事業によって土地の評価額が下がってしまった場合には,所有者に減価補償金が支払われます。
本記事では,一般的な土地区画整理事業の意義と,減価補償金の趣旨や金額算定方法を説明します。

2 土地区画整理事業の意義

土地区画整理事業は,公共施設の整備や私有地の利用を効率化する目的で行われます。具体的には,道路や公園を作るとか,一定のエリア内の私有地の形状を整えるということを行います。

<土地区画整理事業の意義>

あ 土地区画整理事業の目的

ア 公共施設の整備改善
イ 宅地の利用増進

い 事業内容

ア 公共施設の新設・変更
公共施設=道路・公園・広場・河川など
※土地区画整理法2条5項,施行令67条
イ 土地の区画形質の変更
袋地の解消や不整形な宅地を形の良い(長方形の)宅地にするなど
※土地区画整理法2条1項
※不動産行政法規研究会著『要説 不動産に関する行政法規 第29版』学陽書房2014年p167

3 土地区画整理事業の施行者

土地区画整理事業は多く行われていますが,誰が施行者になるか,についてはいくつかのパターンがあります。施行者が誰かによって,減価補償金などの扱いに違いが出てきます。

<土地区画整理事業の施行者>

施行者 土地区画整理法
個人施行者(法人を含む) 3条2項
土地区画整理組合 3条2項
区画整理会社 3条3項
地方公共団体 3条の4第1項
国土交通大臣 3条5項
独立行政法人都市再生機構 3条の2第1項
地方住宅供給公社 3条の4第1項

4 減価補償金の趣旨と法的性質

土地区画整理事業の中で,減価補償金が支払われることがあります。
通常は,大幅に土地の使い勝手がよくなるので,土地の価値は上がります。
一方で,道路を拡幅することで,面積は小さくなります。バランスによっては土地区画整理事業の施行後に,土地の評価額が下がることもあります。
清算金で調整できる範囲であればそれで済みますが,全体の土地の評価額の総額が下がると清算金の調整では足りません。
そこで,減価補償金が支払われることになるのです。

<減価補償金の趣旨と法的性質>

あ 評価額の上昇と下落

事業の施行後は,通常は施行前の宅地の評価を上回ることになる
しかし減歩により減少することもある

い 清算金の調整の限度

土地の評価額の総額が減少した場合
→清算金による調整では足りないことになる

う 減価補償金の制度の趣旨

土地の評価額の減少に対応するために
→減価補償金の制度を規定した
※土地区画整理法制研究会編著『逐条解説 土地区画整理法 第2版改訂版』ぎょうせい2016年p413

え 減価補償金の法的性質

土地区画整理事業は適法である
→減価補償金は損害賠償ではない
損失補償の性質を持つ
※大場民男著『条解・判例 土地区画整理法』日本加除出版2014年p602

5 減価補償金の対象となる事業(施行者)

減価補償金の支払が行われる土地区画整理事業の種類は限定されています。宅地の所有者の意思が十分に反映されないことになる施行方式だけが,減価補償金の適用となります。

<減価補償金の対象となる事業(施行者)>

あ 対象となる土地区画事業(施行者)

『ア〜ウ』が施行者となっている土地区画整理事業
ア 地方公共団体
イ 都市再生機構
ウ 地方住宅供給公社
※土地区画整理法109条1項

い 対象とならない土地区画事業(施行者)

個人・組合・区画整理会社施行の場合
→宅地の利用増進を主たる目的とする
→施行後の宅地の価額総額が,施行前よりも減少することは想定されない
また,宅地の所有者・借地権者の意思に基づいて行う
→減価補償金の交付は適用されない
※大場民男著『条解・判例 土地区画整理法』日本加除出版2014年p602,603
※土地区画整理法制研究会編著『逐条解説 土地区画整理法 第2版改訂版』ぎょうせい2016年p413

6 減価補償金の金額算定

減価補償金を支払うケースで,保証金の金額を算定する計算式が決められています。要するに全体として下がった評価額を,各土地の評価額で按分して割り振るという方法です。

<減価補償金の金額算定>

あ 補償金額の算定式

X=(b−c) × a/b

い 各変数の意味

X=減価補償金額
a=従前の各宅地の施行前の権利価額
b=施行前の宅地の価額の総額
c=施行後の宅地の価額の総額
※土地区画整理法109条1項,施行令60条2項