【住宅瑕疵担保責任履行確保法による供託金・保険金の請求手続と填補範囲】
1 履行確保法による供託金・保険金の請求手続と填補範囲
2 瑕疵発生の際の供託による資力確保措置の利用方法
3 供託金の還付請求の要件
4 瑕疵発生の際の保険による資力確保措置の利用方法
5 供託・保険制度によって填補される損害賠償の範囲
1 履行確保法による供託金・保険金の請求手続と填補範囲
住宅瑕疵担保責任履行確保法(履行確保法)によって,新築住宅に瑕疵があった場合の住宅取得者の保護が強化されています。
詳しくはこちら|住宅品確法の全体像(『新築住宅』の定義・3つの制度)
この保護の内容は,供託金または保険金を受け取るというものです。
本記事では,履行確保法の制度として供託金や保険金を被害者が受け取る手続について説明します。
2 瑕疵発生の際の供託による資力確保措置の利用方法
建設業者や宅建業者がとっていた資力確保措置が供託であった場合には,一定の瑕疵のある住宅を取得した者は供託金の還付を受けることができます。
つまり,供託所(法務局)に対して支払請求(還付請求の手続)をするということです。
<瑕疵発生の際の供託による資力確保措置の利用方法>
あ 優先弁済を受ける権利
瑕疵が発生した場合
住宅取得者は,損害賠償請求権に関して,供託金について優先弁済を受ける権利を有する
※履行確保法6条1項,14条
い 供託所への還付請求
一定の要件(後記※1)に該当する場合
住宅取得者は,供託所に対して直接,支払請求をすることができる
※履行確保法6条2項,14条2項
3 供託金の還付請求の要件
新築住宅の取得者が,履行確保法の制度によって供託金の還付請求をすることができる要件をまとめます。
要するに瑕疵担保責任による損害賠償請求権が発生していることについて,公的機関が認めることが前提となるのです。
<供託金の還付請求の要件(※1)>
あ 還付請求の要件(全体)
『あ・い・う』のいずれかに該当する場合
→供託金の還付請求をすることができる
い 債務名義の取得
住宅取得者が損害賠償請求権について債務名義を取得した
う 公正証書の作成
住宅取得者と業者が公正証書を作成した
記載内容=損害賠償請求権の存在と内容について合意した旨
※施行規則7条参照
え 国土交通大臣の確認
『ア〜ウ』のすべてに該当する
ア 業者が,死亡・倒産などに至ったイ 損害賠償義務を履行することができないor履行が著しく困難であるウ 国土交通大臣の確認を受けた
※施行規則8条,9条参照
4 瑕疵発生の際の保険による資力確保措置の利用方法
建設業者や宅建業者がとっていた資力確保措置が保険であった場合には,一定の瑕疵のある住宅を取得した者は保険金を受けることができます。
なお,建設業者や宅建業者が賠償金を自主的に支払った場合は,これらの業者が保険金を受け取ることになります。
<瑕疵発生の際の保険による資力確保措置の利用方法>
あ 業者による履行後の補填
業者が瑕疵担保責任を履行した場合
→保険金は業者に支払われる
い 住宅取得者からの請求
業者が相当の期間を経過しても瑕疵担保責任を履行しない場合
→住宅取得者は,指定保険法人に対して,直接,保険金の支払を請求することができる
※履行確保法2条5項,6項
5 供託・保険制度によって填補される損害賠償の範囲
以上のように,一定の瑕疵の被害者は,供託または保険によって賠償金を確実に獲得することができるようになっているのです。
支払われる損害賠償の内容の中心は,当然,瑕疵を修補する費用です。
これ以外の付随的な費用も一定の範囲で含まれる傾向があります。
<供託・保険制度によって填補される損害賠償の範囲>
あ 瑕疵の修補費用
全額が填補される
い 付随的な費用
『ア〜ウ』の費用が一定の範囲で含まれる傾向がある
例=上限50万円など
ア 調査費用イ 仮住まい費用ウ 弁護士費用
※第二東京弁護士会消費者問題対策委員会ほか編『改訂 欠陥住宅紛争解決のための建築知識』ぎょうせい2011年p294
本記事では,履行確保法による供託金や保険金を請求する手続について説明しました。
実際には,この手続の前提として,瑕疵の立証が必要になりますので,手続は単純ではありません。
実際に建物の瑕疵の問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。
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