1 平成12年4月1日から住宅品確法施行により消費者保護ルールが強化された
2 新築住宅の『瑕疵担保責任』が強化された|住宅品確法
3 『責任期間10年以上』となる瑕疵は『基本構造部分』だけ
4 住宅性能表示制度の設定|住宅品確法
5 住宅紛争処理体制の整備|住宅品確法
6 住宅の瑕疵担保責任→資力確保措置|住宅瑕疵担保履行法

1 平成12年4月1日から住宅品確法施行により消費者保護ルールが強化された

新築住宅の建設・売買について,平成12年から『住宅品確法』のルールが施行されています。

<住宅品確法の概要>

あ 施行時期

平成12年4月1日

い 住宅品確法の趣旨

住宅の品質確保の促進・住宅購入者等の利益の保護
→住宅の流通促進・社会経済発展
※住宅品確法1条

<住宅品確法の主要な制度>

あ 瑕疵担保責任の特例

一定の『最低限』の期間が設定されました。

い 住宅性能表示制度の設定

任意の制度です。
実質的な効果は『決定打に欠ける』と言えましょう。

う 住宅紛争処理体制の整備

紛争処理機関の設置です。

詳しい内容は次に説明します。

2 新築住宅の『瑕疵担保責任』が強化された|住宅品確法

もともと,民法上,建築請負契約や売買契約では,一定の『瑕疵』についての責任が規定されています。
これを,住宅品確法では強化しています。

<新築建物の『瑕疵担保責任』強化ルール>

あ 対象取引の種類

ア 住宅建築請負契約
イ 完成後1年以内の住宅の売買契約

い 対象となる契約時期

締結日が平成12年4月1日以降

う 瑕疵担保責任のルール

ア 担保責任の『期間』
基本構造部分について,瑕疵担保責任期間を最低10年,とする
20年まで伸長可能です。
イ 担保責任のカウントスタート時点(起算点)
『引き渡し』or『建築工事終了(住宅完成)』

え 瑕疵担保責任の『資力確保措置』

理論的な『責任』に加えて『資力不足』へのケアも,別の法律でフォローされています(後記『6』)。

お 『基本構造部分』の内容

・柱や梁など住宅の構造耐力上主要な部分
・雨水の侵入を防止する部分

か 問題点

『基本構造部分』は非常に限定されている→該当する『瑕疵』が生じるケースは少ない
※住宅品確法94条,95条,97条

詳しくはこちら|瑕疵担保責任の期間制限の規定と特約の制限(まとめ)

3 『責任期間10年以上』となる瑕疵は『基本構造部分』だけ

住宅品確法で『瑕疵担保責任期間は最低限10年』とされる『瑕疵』は『すべて』ではありません。
『基本構造部分』だけです。

<『基本構造部分』の内容>

あ 住宅品確法上の規定

『住宅の構造耐力上主要な部分等』
→『構造耐力上主要な部分』+『雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの』
※品確法94条,同法施行令6条1項

い 『構造耐力上主要な部分』

次の『ア』『イ』のいずれにも該当するもの
ア 基礎,基礎ぐい,壁,柱,小屋組,土台,斜材(筋かい,方づえ,火打材その他これらに類するものをいう),床版,屋根版または横架材(梁,けたその他これらに類するものをいう)
イ 建築物の自重もしくは積載荷重,積雪,風圧,土圧若しくは水圧または地震その他の震動もしくは衝撃を支えるもの

う 『雨水の浸入を防止する部分』

ア 住宅の屋根と外壁
具体的には屋根・外壁の仕上げ・下地などを指す
イ 住宅の屋根・外壁の開口部に設ける戸・枠その他の建具
具体的にはサッシなどを指す
ウ 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち,住宅の屋根もしくは外壁の内部または屋内にある部分
※住宅品確法87・88条,同法施行令6条2項

なお,『地盤の強度・耐力』については,『基本構造部分』には指定されていません。
しかし,『基礎』や『基礎ぐい』,『建築物の自重を支えるもの』の一環となります。
結局,事実上『地盤調査→改良工事』は義務化されたと言えます。

関連コンテンツ|購入した土地の地盤沈下(不同沈下)・液状化についての法的責任

<参考情報>

『週刊ダイヤモンド12年6月16日』p104〜

4 住宅性能表示制度の設定|住宅品確法

住宅品確法により導入された制度の1つが『住宅性能表示制度』です。

<住宅性能表示制度の概要>

あ 概要

ア 住宅の性能評価・表示について一定の基準を設定
イ 住宅性能評価を行う第三者機関を設置(整備)
ウ 住宅性能評価書に表示された内容は『契約内容』となる
→契約書に住宅性能評価書(写し)を添付した場合などです。
※住宅品確法6条

い 効果・メリット

ア 一般消費者でも『住宅の品質』を把握・相互比較が可能となる
イ 消費者(購入者)の保護になる

このようにメリットの実現を狙いとして導入された制度なのです。
しかし,次のような問題点があるので注意が必要です。

<住宅性能表示制度の問題点・注意点>

あ 実施は『任意』

住宅性能評価を行う/行わない,は自由となっています。

い 対象項目から『重要事項』が欠落している

事後的に住宅の瑕疵などとして深刻な問題となる項目が評価対象に含まれていません。
《評価対象とされている事項》
ア 省エネ性能
イ 高齢者への配慮 など
このように,『付加的』な事項が中心となっています。
《評価対象から除外されている重要事項》
ア 構造品質
イ 施工水準
つまり,『使用部材』は対象ですが,『施工』は無視した性能評価と言えます。

う 『住宅性能評価書の契約内容化』は排除可能

契約書の条項で『住宅性能評価書を契約内容とはしない』と規定することが可能です(住宅品確法6条4項)。

5 住宅紛争処理体制の整備|住宅品確法

品確法によって,住宅の紛争解決機関として『住宅紛争審査会』が設置されました。

<住宅紛争審査会の概要>

あ 設置場所

全国の弁護士会(52会)

い 紛争処理の内容

ア 紛争処理委員
弁護士・建築士
イ 解決手続
・あっせん,調停,仲裁
・現地調査

う 申立手数料

約1万円
※住宅品確法67条,住宅瑕疵担保履行法33条

要するに,法律・建築の専門家がそれぞれの知識を集結させて事案分析→紛争解決を行う,という手続を行う機関です。
住宅紛争審査会で扱うことのできる『紛争』は限定されています。

<住宅紛争審査会の対象事案>

あ 対象住宅

次のいずれか
ア 評価住宅
品確法による『住宅性能評価書』が交付された住宅
イ 保険付き住宅
住宅瑕疵担保履行法による『住宅瑕疵担保責任保険』が付けられている住宅

い 対象『取引』

ア 建設工事請負契約
イ 売買契約

紛争解決手段(手続)はこれ以外にも,訴訟・民事調停などがあります。
それぞれ,制度内容・特徴が異なります。
事案に応じて最適な手続選択は違ってきます。

6 住宅の瑕疵担保責任→資力確保措置|住宅瑕疵担保履行法

住宅品確法で,新築住宅の建築・売買に関する『瑕疵担保責任』が強化されています。
ただし,強化されているのは『法的な責任』です。
逆に言えば,『実際に責任が生じた時に賠償金を払えるかどうか』は別問題です。
固く言えば『瑕疵担保責任の履行(確保)』の問題です。
これについても,別の法律で一定のルールが作られています。
新築住宅の建築や売買について,『資力確保措置』が義務付けられているのです。

<住宅瑕疵担保履行法による資力確保措置の対象>

あ 対象取引

ア 新築住宅建築請負契約
イ 新築住宅売買契約
完成後1年以内の物件が対象です。
『新築住宅』は,品確法の定義と同じです。
※住宅瑕疵担保履行法2条1項,住宅品確法2条2項

い 適用除外

注文者・買主が宅建業者である場合
※住宅瑕疵担保履行法2条5項2号ロ,2条6項2号ロ

<住宅瑕疵担保履行法による資力確保措置の内容>

あ 住宅建設瑕疵担保保証金

ア 義務者
新築注文住宅の建築に係る請負人(建設業者等)
イ 措置の内容
『保証金の供託』or『住宅瑕疵担保保険加入』
※住宅瑕疵担保履行法3条

い 住宅販売瑕疵担保保証金

ア 義務者
新築建売住宅の売主(宅地建物取引業者等)
イ 措置の内容
『保証金の供託』or『住宅瑕疵担保保険加入』
※住宅瑕疵担保履行法11条

実際に,『被害者』となってしまった場合は,この『資力確保措置』により救済されます。

<『資力確保措置』による被害者の救済手続>

あ 救済を受けられる者

一定の瑕疵担保責任に基づく損害賠償請求権を有する発注者・買主

い 救済の内容(手続)

ア 供託された保証金から優先的に弁済を受ける
イ 住宅瑕疵担保保険の保険金の支給を受ける
※住宅瑕疵担保履行法9条1項,2項,16条,2条5項,6項