1 竹木の管理不備による責任
2 竹木の管理による責任(基本)
3 国有林の天然木の管理不足による責任(肯定裁判例)
4 道路に越境した生け垣による責任(肯定裁判例)

1 竹木の管理不備による責任

木などの大きな植物は,管理の不備によって大きな被害が生じやすいです。
そこで,竹木については,管理の不備による責任が広く認められます。
被害者を保護する趣旨で,竹木の管理責任に関する規定があるのです。
本記事では竹木の管理による責任について説明します。

2 竹木の管理による責任(基本)

竹木の管理による責任の条文の規定を整理します。
『土地工作物責任』を準用するという規定の仕方になっています。

<竹木の管理による責任(基本)>

あ 条文規定

『ア〜ウ』のすべてに該当する場合
→竹木の占有者or所有者は損害賠償責任を負う
ア 竹木の栽植or支持瑕疵があった
イ 他人に損害が生じた
ウ 瑕疵と損害発生に相当因果関係がある
※民法717条2項

い 『支持の瑕疵』の意味

(竹木の)維持・管理の瑕疵である
※東京高裁平成19年1月17日

う 賠償責任を負う者(概要)

ア 占有者(中間責任)
イ 所有者(無過失責任)
詳しくはこちら|土地工作物責任の全体像(条文規定・登記との関係・共同責任)

条文の規定自体は単純です(前記)。
実際には瑕疵ありといえるかどうかについて意見の対立が生じやすいです。
これは土地工作物責任における瑕疵と同じことがいえます。
詳しくはこちら|土地工作物責任の『設置・保存の瑕疵』の解釈と具体例
以下,竹木の管理の不備による賠償責任が認められた具体例を紹介します。

3 国有林の天然木の管理不足による責任(肯定裁判例)

竹木の管理不足によって所有者に責任が認められた具体例を紹介します。
国有林であったので,国の責任が認められた裁判例です。

<国有林の天然木の管理不足による責任(肯定裁判例)>

あ 事案

十和田八幡平国立公園の奥入瀬渓流の遊歩道において
ブナの国有林があった
約7メートルのブナの枯れ枝が落下し観光客に直撃した
観光客(被害者)は重症を負った

い 裁判所の判断

ブナの木は天然木であった
=人為的に植栽したもの(庭木)ではない
しかし,危険を内包する点においては庭木と異ならない
→竹木の管理による責任を認めた
=ブナの木の所有者・管理者である国の責任
※東京高裁平成19年1月17日

4 道路に越境した生け垣による責任(肯定裁判例)

生け垣の中身である植物が道路にはみ出していたことが悲劇を起こしたケースです。
女児が乗っていた自転車が転倒し,死亡に至ったのです。
生け垣も植物であり竹木に該当します。
生け垣の所有者としては想定外の事故だったのかもしれません。
しかし,裁判所は管理不足による実害を重視して,賠償責任を認めました。

<道路に越境した生け垣による責任(肯定裁判例)>

あ 事案

7歳の女児が歩道上を自転車で走行していた
車道上に転倒して貨物自動車にひかれて死亡した
事故の原因は歩道上に張り出していた生け垣にもあった

い 管理責任の内容(前提)

竹木が交通の往来に危険を及ぼす場合
→必要な措置を講じなくてはならない
措置の内容=竹木が道路上にはみ出さないようにする

う 管理懈怠による責任

『い』のような措置を怠ったことについて
→通常有すべき安全性を欠いている
=『竹木の植栽or支持の瑕疵』がある

え 結論(裁判所の判断)

生け垣の所有者の責任を認めた
※大阪地裁平成19年5月9日