1 借地の権利金への所得税の課税(総論)
2 借地権設定の対価の性格の権利金に対する所得税
3 地代の前払いの性格の権利金に対する所得税

1 借地の権利金への所得税の課税(総論)

借地契約の締結の際,通常,権利金が支払われます。
詳しくはこちら|借地開始時に権利金・保証金・建設協力金が支払われる(全体)
権利金には原則的に所得税が課税されます。
ところで権利金には主に2種類の性格があります。
詳しくはこちら|借地の権利金の性格は複数あり返還義務は原則的にない
性格によって所得税の課税の内容が違ってきます。
本記事では,権利金に対して課税される所得税について説明します。

2 借地権設定の対価の性格の権利金に対する所得税

権利金の性格のうち,主要なものは借地権設定の対価です。
つまり,借地人が得る借地権の価値に対応する金銭の支払いというものです。
この性格を前提にすると,権利金は原則として不動産譲渡所得となります。
ただし,権利金の金額大幅に低い場合は不動産所得として総合課税となります。

<借地権設定の対価の性格の権利金に対する所得税>

あ 権利金が土地価格の2分の1以下の場合

ア 税務的扱い
『不動産所得』として扱う
→総合課税となる
イ 趣旨
返還義務なしの『小さめの』収入→『賃料』と同じカテゴリとする

い 権利金が土地価格の2分の1超の場合

『譲渡所得』として扱う
→不動産譲渡所得=分離課税となる
イ 趣旨
一時金としての『大きな』収入=『売買』と同じカテゴリとする

3 地代の前払いの性格の権利金に対する所得税

権利金の性格には地代の前払いというものもあります。
この場合の課税は,計算上の毎年の地代収入が対象となります。

<地代の前払いの性格の権利金に対する所得税>

あ 税務的扱い

『前受地代』を『前受収益』として計上する
+『当該年分の地代に相当する金額』を収入金額に計上する
例;30年分の前受地代なら毎年その額の30分の1を計上する

い 趣旨

『確定的な収入=返還義務を免れた金額』という考え方
『敷金の償却』と同じ方式である

借地の契約では以上のように地代以外のイレギュラーな金銭のやりとりが生じます。
この場合,税務的な扱いまで把握しておかないと思わぬ高額課税を負担することがあります。
法律面だけではなく税務面もケアして契約内容を設定する必要があります。
さらに,設定した内容を契約書に明記しておくことで,後から税務署から違う扱いを受けるリスクを予防できます。