1 『瑕疵』の意味・品質や性状の基準・種類
2 売買における『瑕疵』の解釈(判例)
3 請負における『瑕疵』の解釈
4 瑕疵の判断基準となる品質・性能のレベル
5 瑕疵の内容の種類

1 『瑕疵』の意味・品質や性状の基準・種類

売買契約や請負契約などの有償の契約では瑕疵担保責任が発生することがあります。
詳しくはこちら|売買・請負の瑕疵担保責任の要件と責任の内容の全体像
『瑕疵』という概念は抽象的です。そして,民法では『瑕疵』の内容を具体的に規定していません。そこで,瑕疵といえるかどうかについて見解が対立するケースが実際に多くあります。
本記事では,『瑕疵』の意味や判断基準などの基本的事項を説明します。

2 売買における『瑕疵』の解釈(判例)

まず,売買契約における『瑕疵』の一般的な解釈を示した判例を紹介します。

<売買における『瑕疵』の解釈(判例)>

売買目的物に欠陥があり,そのために価値の減少が生じ,目的物の通常の用途or契約で定めた用途に適合しないこと
※大判昭和8年1月14日;要旨

3 請負における『瑕疵』の解釈

請負契約における『瑕疵』も,売買契約の『瑕疵』と実質的には変わりません。一般的な解釈をまとめます。

<請負における『瑕疵』の解釈>

仕事の目的の瑕疵とは
材料の欠点or仕事を完成するために支出した精神的or肉体的労務の不完全から生じた仕事の疎漏であり
通常or当事者が契約によって期待していた一定の性状を欠いていたり
仕事の結果が請負人の保証した性質を有しなかったり
それが経済的価値を減ずるような不完全な点があったり
法律上の制限があったりする場合である
※幾代通ほか編『新版 注釈民法(16)債権(7)』有斐閣1989年p137

この解釈の中には瑕疵の分類(種類)が登場しています。瑕疵の種類については後述します。

4 瑕疵の判断基準となる品質・性能のレベル

前記のように,瑕疵の有無の判断で重要なところはどの程度の品質・性能が境となるのか,ということです。判断基準となる品質・性能のレベルは一般的な平均当事者による特定の2つがあります。

<瑕疵の判断基準となる品質・性能のレベル>

あ 原則

目的物が通常有すべき品質・性能を標準にする

い 契約による特定

契約で特別の品質・性能が示された場合
→これを標準に判断する
※能見善久ほか『論点体系判例民法5 第2版』第一法規出版p198

5 瑕疵の内容の種類

瑕疵というのは抽象的な概念です。実際には,いろいろなもの(欠陥)が瑕疵にあたります。瑕疵の内容を大きく分類すると3種類となります。

<瑕疵の内容の種類>

あ 物理的瑕疵

目的物に欠陥がある

い 法律的瑕疵(権利の瑕疵)

ア 権利の不存在
追奪担保責任とも呼ばれる
イ 他権利により制限を受ける
法律上の規制による制限もある
※東京地裁昭和47年2月29日(建物の建築請負における建築基準法違反)
詳しくはこちら|不動産売買・建築請負における欠陥の典型例

う 心理的瑕疵

心理的な面で欠陥がある
詳しくはこちら|不動産売買・賃貸×過去の人の死|基本|法的構成・責任・発覚ルート

本記事では,『瑕疵』の意味や解釈について説明しました。
実際のケースでは『瑕疵』にあたるかどうかの見解が熾烈に対立することがとても多いです。
実際に『瑕疵』の判断についての問題に直面されている方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。