1 ケース貸し|判例|営業への関与大→独立性否定
2 ケース貸し|判例|売上連動型テナント料→独立性否定
3 ケース貸し|判例|スーパー・パン売場→独立性肯定

1 ケース貸し|判例|営業への関与大→独立性否定

本記事では,ケース貸しが『借家』に該当するかどうかを判断した判例を紹介します。
まずは『営業への関与』が重視されたケースです。

<ケース貸し|判例|営業への関与大→独立性否定>

あ 事案

ア 店舗の位置(部分)は賃貸人から指定されたイ 営業方針に干渉できた 商品の種類・品質・価格等について賃貸人が指示していた
ウ 防火目的での指示ができた 安全確保などの目的で適切な指示をすることができた
エ 設備の移動が可能・容易 賃借人が設置した設備はいずれも定着物ではなく移動しうるものに限られていた
オ 包装用紙を賃貸人が指定していたカ 従業員採用についての指示 従業員は賃借人が雇用した
採用の適否について賃貸人が指示できた

い 裁判所の判断

借家法の適用を否定した
※最高裁判所昭和30年2月18日

2 ケース貸し|判例|売上連動型テナント料→独立性否定

『売上とテナント料連動性』という特殊事情が考慮された判例です。

<ケース貸し|判例|売上連動型テナント料→独立性否定>

あ 事案

ア オーナーが商品陳列棚を設置したイ 売上の11%をテナント料として設定していたウ 売場と他のエリアとのしっかりした区切りがなかったエ 顧客の代金支払は,オーナー管理のレヂだった 各売場では代金の受領を行っていなかった

い 裁判所の判断

借家法の適用を否定した
※浦和地方裁判所越谷支部平成2年4月20日

3 ケース貸し|判例|スーパー・パン売場→独立性肯定

物理的な隔離がしっかりしている店舗についての判例です。
独立性が肯定されました。

<ケース貸し|判例|スーパー・パン売場→独立性肯定>

あ 事案

ア 物理的隔離 『店舗』としての形状であった
=壁によって他のエリアと区切られていた
イ 出入りの自由 実際にオーナー側の者が店舗に出入りすることはなかった
ウ 内装の施工 内装はテナントが施工した
エ エリア指定・変更 店舗の場所が移動することはなかった

い 裁判所の判断

借家法の適用を肯定した
※東京地方裁判所平成8年7月15日