【離婚(財産分与)に関する規定の創設(昭和22年改正民法)】
1 離婚(財産分与)に関する規定の創設(昭和22年改正民法)
夫婦が離婚する際に、財産分与として財産の清算をします。
詳しくはこちら|離婚時の財産分与の総合ガイド(法的理論・手続・実務上の問題の全体像)
今では当たり前の財産分与ですが、かつては、そんな制度はない時代もありました。本記事では財産分与の制度が創設された経緯、歴史を説明します。
2 昭和22年民法改正の経緯(前提)
昭和22年の民法改正で財産分与が創設されるなど、夫婦・離婚に関するルールが大きく変わりました。現在では当然・常識と思われることは『過去の非常識』なのです。
本記事では昭和22年の民法改正の中で離婚に関するものを説明します。
まず民法改正の経緯ですが、敗戦と日本国憲法の制定が背景にあります。
昭和22年民法改正の経緯(前提)
あ 日本国憲法の制定
終戦に伴い日本国憲法を公布・施行することになった
憲法の施行日=昭和22年5月3日(憲法記念日となっている)
い 昭和22年民法改正の経緯
日本国憲法に沿うように民法を改正することとなった
う 改正民法の施行日
昭和23年1月1日
※附則(昭和22年12月22日法律第222号)1条
3 昭和22年改正民法の離婚に関する規定
昭和22年改正民法では、多くの規定が一挙に新たに変わりました。その中で、離婚に関する主な規定の変更についてまとめます。
昭和22年改正民法の離婚に関する規定
あ 離婚に関する主な変更
ア 財産分与の制度(民法768条)の創設
改正以前は財産分与の制度がなかった
イ 離婚原因の規定の変更
改正以前は重婚・妻の姦通などが規定の中にあった
他方の同意で離婚原因として否定される規定もあった
※旧民法813条、814条
→夫婦(男女)平等の現行規定に変更された
い 財産分与の経過措置(適用範囲)
日本国憲法施行後新法施行前に離婚した者について
→財産分与を請求できる
※附則(昭和22年12月22日法律第222号)10条1項
う 離婚原因の経過措置(適用範囲)
新法施行前に生じた事実を原因とする離婚請求について
→旧法が適用される
※附則(昭和22年12月22日法律第222号)11条
4 昭和22年改正民法の離婚関連の適用範囲(まとめ)
離婚に関する規定の適用の経過措置は多少複雑です(前記)。具体的な日付を使って、適用範囲をまとめます。
昭和22年改正民法の離婚関連の適用範囲(まとめ)
あ 改正民法の一般的な施行日(前提)
昭和23年1月1日
い 財産分与が適用される範囲
離婚の日が昭和22年5月3日以後のもの
う 離婚請求に関する規定が適用される範囲
昭和23年1月1日以後に生じた事実を原因とするもの
本記事では、離婚の時の財産分与の制度の歴史について説明しました。
実際には、個別的事情により法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。
実際に財産分与など、離婚(夫婦)に関する問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。
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