【意思表示の撤回と取消(撤回期限や取消可能な状況)】
1 意思表示の撤回と取消(撤回期限や取消可能な状況)
形式的には締結をした契約が無効になるかどうか、ということが問題となる実例も多いです。
この点、意思表示(契約)の効力をなしにするルールがいくつかあります。発生するまでに撤回できる、というものと、一応は効力が発生した後に取消をする、というものです。本記事では、これらの解釈を整理します。
2 意思表示の撤回(効力発生前)
(1)意思表示の効力発生時期(前提)
一般的な意思表示の効力発生についてのルールをまとめます。
意思表示の効力発生時期(前提)
あ 意思表示|効力発生時期
一般的には意思表示が相手方に到達した時
→効果が発生する
※民法97条1項参照
い 意思表示の到達|具体的受領者
『相手方への意思表示の到達』とは
→『意思表示の受領権限のある者』への到達のことである
意思表示の基本的事項は別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|意思表示の基本(意思表示・通知の分類・内容証明郵便の特徴)
(2)意思表示の撤回の期限→到達前
意思表示は、効力が発生する前であれば、撤回可能です。
意思表示の撤回の期限→到達前
あ 意思表示の効力発生→撤回不可
意思表示が効力を発生した場合
→単純な意思表示の撤回はできなくなる
い 意思表示の撤回の期限→到達前
意思表示が受領権限のある者に到達する前であれば
→意思表示を撤回できる
以上は純粋な『意思表示の撤回』の説明でした。
特殊な事情があると別の規定による取消が認められます。
民法総則にあるベーシックな救済措置を次に説明します。
3 詐欺による取消(基本)
民法上の『詐欺取消』のルールをまとめます。
詐欺による取消(基本)
あ 前提事情
誤った説明により誤解が生じた
その結果不本意な意思表示をした
い 効果=救済措置
取消の意思表示を行うことができる
→これにより意思表示は撤回できる
※民法96条
4 強迫による取消(基本)
民法上の『強迫』のルールをまとめます。
強迫による取消(基本)
→取消の意思表示を行うことができる
刑法の『脅迫』とは別の漢字を用いる
※民法96条
5 錯誤による取消(基本)
民法上の『錯誤』のルールをまとめます。
錯誤による取消(基本)
→意思表示の取消ができる
(平成29年改正前は「無効」であった)
※民法95条
本記事では、意思表示の撤回や取消の基本的事項について説明しました。
実際には、個別的事情により法的判断や主張として活かす方法、最適な対応方法は違ってきます。
実際に契約の効力(有効か無効か)に関する問題に直面されている方は、みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。
共有不動産の紛争解決の実務第3版
使用方法・共有物分割・所在等不明対応から登記・税務まで
共有不動産をめぐる法的紛争の解決に関する実務指針を
《事例》や《記載例》に即して解説する実践的手引書!
- 第3版では、共有規定の大改正に対応することはもちろん、その改正議論の中で展開され深化した解釈論により明らかになった実務への影響を余すところなく追録して大幅改訂増補!
- 共有物分割、共有持分買取権行使、共有持分放棄、共有持分譲渡などの手続を上手に使い分ける指針を示した定番書!
- 相続や離婚の際にあわせて問題となりうる「共有者の1人による居住」「収益物件の経費・賃料収入」「使っていない共有不動産の管理」の相談対応や、「空き家」「所有者不明土地」「相続未登記」問題の解決のヒントに!
- 他の共有者等に対する通知書・合意書、共有物分割の類型ごとの訴状、紛争当事者の関係図を多数収録しており、実務に至便!


