【通称への名の変更の実務的傾向と実質的な趣旨】

1 長期使用の通称名への変更の実務的傾向
2 通称名・社会名と戸籍名の一致の原則
3 他の変更事由との関係

1 長期使用の通称名への変更の実務的傾向

名を変更する現実的な理由・事情は多くの種類に分類できます。
詳しくはこちら|名の変更許可制度の基本(規定・趣旨・現実的理由)
本記事では通称名への変更の傾向や理論的な扱いを説明します。判断基準については別の記事で詳しく説明します。
詳しくはこちら|通称への名の変更の許可基準
名の変更の中で通称名への変更はとても多いです。まずは実務的な傾向をまとめます。

<長期使用の通称名への変更の実務的傾向>

あ 申立数と判断の傾向

通称名(通用名)が長期間使用されている
通称名への変更許可の申立について
申立が圧倒的に多い
認められる割合も高い

い 長期使用の通称名の尊重(※1)

名の変更許可の判断において
通称の長期間(永年)の使用を重視する方向性である
※山主政幸『名の変更事由としての通用/戸籍66号』テイハンp20
※高梨公之『家族法と戸籍の諸問題 戸籍時報100号記念』日本加除出版p7

2 通称名・社会名と戸籍名の一致の原則

通称名への変更は,理論的には通称と戸籍名が一致することです。この点,戸籍制度の趣旨として,社会で認められた名が戸籍に記録されているべきです。その意味で,変更を『許す』というより変更『すべき』状態なのです。

<通称名・社会名と戸籍名の一致の原則>

あ 通称名と戸籍名の一致

通用名(通称)がある場合
→これに戸籍名を合致させることが望ましい(上記※1)

い 通称名と戸籍名の関係

通称名への名の変更について
既に行われる名の戸籍名化である
=社会名(通称名)の戸籍的確認である
※高梨公之『家族法と戸籍の諸問題 戸籍時報100号記念』日本加除出版p7,10

3 他の変更事由との関係

名の変更の理由となる事情は通称以外にも多くのものがあります。
この点,通称以外として分類された理由に該当する実際のケースでは『通称』が用いられていることが多いです。
このような状況について整理します。

<他の変更事由との関係>

名の変更の現実的理由のうち
同名・難読・珍奇・悪名などの事情について
詳しくはこちら|名の変更許可制度の基本(規定・趣旨・現実的理由)
→実際にはこれに代わる通称が使用されていることが多い
→通称名への変更の判断基準を用いれば足りる
※高梨公之『家族法と戸籍の諸問題 戸籍時報100号記念』日本加除出版p7,10

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