1 オープン型既婚者交際×慰謝料|原則=慰謝料なし
2 オープン型既婚者交際×慰謝料|250万円
3 オープン型既婚者交際×慰謝料|70万円
4 オープン型既婚者交際×慰謝料|60万円
5 オープン型既婚者交際×内縁不当破棄|300万円
6 オープン型既婚者交際×クロス慰謝料|200万円
7 オープン型既婚者交際×クロス慰謝料|約400万円
8 オープン型既婚者交際×クロス慰謝料|75万円

1 オープン型既婚者交際×慰謝料|原則=慰謝料なし

既婚者の男女交際により『慰謝料』が発生することがあります。
(別記事『既婚者の男女交際×慰謝料|理論』;リンクは末尾に表示)
本記事では既婚者の男女交際による慰謝料の判例を紹介します。
まずは原則的な『慰謝料なし』という判断がなされたケースです。

<オープン型既婚者交際×慰謝料|原則=慰謝料なし>

あ 男女交際

既婚男性A=医師
婚外女性B=患者
A・Bが交際した
Aが一方的に交際を中断した

い 裁判所の判断

交際自体が『民事的違法』である
→慰謝料請求は認めない
※民法708条類推適用
※東京地裁昭和54年5月29日

これは原則的な判断です。
事情によっては例外的な判断となります。
例外として慰謝料が認められた判例は次に紹介します。
どのような事情が『特殊』とみられたか,が分かります。

2 オープン型既婚者交際×慰謝料|250万円

特殊な事情により,婚外女性からの慰謝料請求が認められたケースです。

<オープン型既婚者交際×慰謝料|250万円>

あ 事案概要

既婚男性A=眼科医
婚外女性B=看護師
Bが妊娠した
Aは『離婚して婚外女性と再婚する』と説明した
その説明は嘘であった
Aが嘘をついた理由は出産を避ける=中絶させることであった

い 裁判所の判断

嘘やその理由は不法の程度が大きい
→慰謝料250万円を認めた
※東京地裁昭和59年2月23日

3 オープン型既婚者交際×慰謝料|70万円

引き続き,特殊事情により慰謝料請求が認められたケースです。

<オープン型既婚者交際×慰謝料|70万円>

あ 事案概要|トリプル不倫状態

既婚男性A=警察官・32歳
婚外女性B=スナック勤務のキャスト・21歳
Bが被害者となっている刑事事件があった
Aはその事件の取調官であった
2人の交際期間中にBは別の男性と性交渉を持っていた
↑トリプル不倫の状態と言える

い 裁判所の判断

慰謝料70万円を認めた
※名古屋高裁昭和59年1月19日

4 オープン型既婚者交際×慰謝料|60万円

引き続き,慰謝料請求が認められたケースです。
時代が古いので慰謝料の金額が小さくみえます。

<オープン型既婚者交際×慰謝料|60万円>

あ 事案概要

婚外女性B=19歳
Bは妊娠した
既婚男性A=Bの上司
Aは『離婚する』と説明していた

い 裁判所の判断

慰謝料60万円を認めた
現在の貨幣価値=約200万円
※最高裁昭和44年9月26日

5 オープン型既婚者交際×内縁不当破棄|300万円

以上の判例と似ている事案です。
ただし,認められた金銭の性格がちょっと特殊です。
『交際破棄の慰謝料』ではなく『内縁の不当破棄』として認められました。

<オープン型既婚者交際×内縁不当破棄|300万円>

あ 事案概要

不貞配偶者A=26歳
婚外女性B=19歳
同居期間=2か月間
Aは『離婚する』と説明していた
Bは妊娠→出産した

い 請求の構成

内縁の不当破棄についての慰謝料請求

う 裁判所の判断

慰謝料300万円を認めた
※京都地裁平成4年10月27日

6 オープン型既婚者交際×クロス慰謝料|200万円

以上の判例は『婚外女性からの慰謝料請求』だけのものでした。
事案によっては『正妻から婚外女性への慰謝料』も請求されます。
2つの慰謝料請求がクロスする状況と言えます。
まずは特殊事情が比較的少ないケースを紹介します。

<オープン型既婚者交際×クロス慰謝料|200万円>

あ 事案概要

既婚男性Aは『離婚した』と嘘の説明をしていた
婚外女性Bは妊娠→出産した

い 裁判所の判断|婚外女性の請求

慰謝料200万円を認めた

う 裁判所の判断|正妻の請求

正妻Cは婚外女性Bに慰謝料を請求した
→裁判所は慰謝料80万円を認めた
※東京地方裁判所平成15年6月24日

7 オープン型既婚者交際×クロス慰謝料|約400万円

慰謝料のクロス請求に関する判例を続けて紹介します。
交際の当事者2人で『慰謝料額を合意していた』という特殊事情がありました。

<オープン型既婚者交際×クロス慰謝料|約400万円>

あ 事案概要

既婚男性Aは『Cと離婚してBと再婚する』と約束していた
その後,Aはこの約束を一方的に破棄した
A・Bは清算について協議した
A・Bは次の内容を合意し,書面に調印した
『AがBに婚約不履行の慰謝料として399万円を支払う』

い 裁判所の判断|婚外女性の請求

慰謝料399をそのまま認めた
これとは別に弁護士費用39万円も認めた

う 裁判所の判断|正妻の請求

正妻Cは婚外女性Bに慰謝料を請求した
→裁判所は慰謝料165万円を認めた
※東京地方裁判所平成19年2月15日

8 オープン型既婚者交際×クロス慰謝料|75万円

クロス慰謝料に関する判例を続けて紹介します。
正妻の方が強く保護された,と言える結果となったケースです。

<オープン型既婚者交際×クロス慰謝料|75万円>

あ 事案概要

既婚男性Aと婚外女性Bが男女交際を行った

い 裁判所の判断|婚外女性の請求

慰謝料75万円を認めた

う 裁判所の判断|正妻の請求

正妻Cは婚外女性Bに慰謝料を請求した
→裁判所は慰謝料150万円を認めた
※長野家庭裁判所諏訪支部平成23年12月13日