1 債務者の母が目にする請求行為(事案)
2 債務者の母が目にする請求行為(懲戒判断)
3 離婚トラブルを勤務先に告知(事案)
4 離婚トラブルを勤務先に告知(懲戒判断)
5 ダブル不倫を相手方の配偶者に通知(事案)
6 ダブル不倫を相手方の配偶者に通知(懲戒判断)

1 債務者の母が目にする請求行為(事案)

弁護士の請求する行為が違法となることがあります。まずは,相手の家族に知られるような状況が問題となったケースを紹介します。

<債務者の母が目にする請求行為(事案)>

あ 受任事件の和解成立

弁護士Yが関与した訴訟で和解が成立した
相手方Xが金銭支払の義務を認めた

い 相手方の不履行

その後,Xが義務を履行しなかった

う 履行の請求行為

Yは第三者を伴いXの母親方を訪れた
YはXに対し,Xの母親がいる傍らで大声で支払の督促をした
YはXの母親の住所宛に催告の内容証明郵便を送付した
YはYの名刺の表に次のように書いてXの玄関に差し置いた

え 名刺に記載した内容

1週間以内に指定された口座に180万円振込まないと,集金のきびしい人にさいけんをうります
(・・・集金の厳しい人に債権を売ります)

2 債務者の母が目にする請求行為(懲戒判断)

前記事例についての弁護士会の判断です。

<債務者の母が目にする請求行為(懲戒判断)>

戒告とする
平成11年6月1日
※自由と正義50巻8号p191

3 離婚トラブルを勤務先に告知(事案)

個人的なトラブルを,直接関わりのない勤務先に知らせたという攻撃的なアクションが問題となったケースです。

<離婚トラブルを勤務先に告知(事案)>

あ 受任

弁護士Yは離婚事件の依頼を受けた

い 相手方への通知書の送付

調停申立前において
Yは相手方Xに対し,次の内容の通告書を内容証明郵便で発送した

う 通知書の内容

Xが製薬会社から風俗店で接待を受け,店の女性と深い仲になったこと
『事実関係を認めない時は,法的手続をはじめ,通常社会でとられている紛争解決手段をとって,事件に現れている医療界の疲弊を含めてこれまでのことを詳細に広く社会に明らかにした上で,解決を図る所存である』

え 調停申立

Yは,調停申立書に,Xが風俗店で接待を受けた内容を詳細に記載した

お 勤務先関係者への書面交付

YはXの勤務する病院の元事務局長に対し次の情報を開示した
ア 『う』の通告書を交付した
交付の際,次のように述べた
『本件がマスコミに流れる可能性があるので,穏便に収まるよう考えたい』
イ 『え』の調停申立書を送付した

4 離婚トラブルを勤務先に告知(懲戒判断)

前記事例についての弁護士会の判断です。

<離婚トラブルを勤務先に告知(懲戒判断)>

あ Xへの通告書の送付

弁護士として,慰謝料交渉をする場合の社会的相当性を逸脱する

い 元事務局長への書面交付

通告書・調停申立書を元事務局長へ交付・送付したことについて
交渉相手Xのプライバシーに関わる問題を,病院のスキャンダルと絡めて,Xの職場に持ち込んだ
→離婚交渉を有利に進めるため,解決への圧力に利用した
弁護士の紛争解決手段として社会的相当性を逸脱している

う 評価のまとめ

『あ・い』について
→弁護士としての正当な業務執行行為の範囲を逸脱している
品位を失うべき非行に該当する
※弁護士法56条1項

え 結論

業務停止1か月とする
平成13年12月28日
※自由と正義53巻3号p139

5 ダブル不倫を相手方の配偶者に通知(事案)

いわゆるダブル不倫の事案の内容を当事者以外に知らせたというケースです。

<ダブル不倫を相手方の配偶者に通知(事案)>

あ ダブル不倫関係

A・Bは婚姻している
C・Dは婚姻している
B・Dが性的関係を持った
不貞行為に該当する

い 受任

Aは弁護士Yに依頼し,Yは受任した
受任内容=Dへの慰謝料請求の訴訟

う 当事者以外への通知

YはCに対して次の内容の内容証明郵便を送付した

え 通知内容

AとDとの訴訟が係属中である
面談を求める

6 ダブル不倫を相手方の配偶者に通知(懲戒判断)

前記事例についての弁護士会の判断です。

<ダブル不倫を相手方の配偶者に通知(懲戒判断)>

あ 行為の評価

Cに対して通知をする必要性はまったくない
品位を失うべき非行に該当する
※弁護士法56条1項

い 結論

戒告とする
平成28年9月30日
※自由と正義2017年2月p91

不倫(不貞行為)については,バラすこと自体が単独で違法となることがよくあります。
詳しくはこちら|不倫を公表したことの法的責任(名誉毀損罪・侮辱罪など)