1 売買契約成立|認定基準・目安
2 契約未成立×法的責任|原則
3 契約未成立×契約締結上の過失|理論
4 契約締結上の過失|具体例

1 売買契約成立|認定基準・目安

売買の交渉から契約成立に至るプロセスが曖昧になることがあります。
売買契約未満と言えるいろいろな書面について別に説明しています。
詳しくはこちら|買付証明書・売渡承諾書・仮契約書|記載事項・活用方法・法的意味
本記事では売買契約の『成立』の判断基準について説明します。
実務的な判断基準の目安をまとめます。

<売買契約成立|認定基準・目安>

あ 基本的事項

次のいずれかが実行された場合
→売買契約が成立したと判断される傾向がある

い 主要判断要素

ア (正式な)売買契約書の作成
次のような主要な事項がすべて含まれている
・代金支払時期
・引渡・登記移転時期
イ 相当額の手付金の授受
一定程度の金額であることが前提である
『手付金』の金額が特に低額な場合
→『優先的な交渉をする立場』を確認する趣旨と判断される

2 契約未成立×法的責任|原則

契約が成立していない,という状況の法的な状況を整理します。

<契約未成立×法的責任|原則>

あ 基本的事項

契約が成立していない場合
→法的責任は生じない

い 具体例

購入の意向を撤回した
→『債務不履行による違約金』は生じない

このように『法的に相互を拘束しない』状態となります。

3 契約未成立×契約締結上の過失|理論

契約が成立していないのに法的責任が生じることもあります。
このような例外的な扱いについてまとめます。

<契約未成立×契約締結上の過失|理論>

契約締結に向けた協議が行われた
しかし契約締結には至らなかった
協議・交渉おいて不当な行為があった場合
→損害賠償請求が認められる可能性がある
『契約締結上の過失』と呼ばれる

4 契約締結上の過失|具体例

契約締結上の過失が認められる典型的な例を紹介します。

<契約締結上の過失|具体例>

あ 交渉プロセス

建物の売買契約に向けた協議・交渉が行われた
契約締結前に,買主候補者の意向による工事が行われた

い 工事施工|例

ア テラスの設置工事
イ 指定の色調での内装工事

う 結論・法的扱い

その後,購入しないことに決まった
→買主候補者には『契約締結上の過失』が認められる