【民事再生;債権者記載漏れ→再生計画取消】

民事再生手続きで,債権者一覧に載っていなかったので,事情をまったく知らなかった債権者についても,ディスカウントや分割が適用になるのはアンフェアではないでしょうか。
そのような不正な民事再生手続きの利用が許されるのでしょうか。
例外的に,意図的・悪質な場合は,再生計画が取消となる場合もあります。

確かに,民事再生手続きに参加できなかった債権者としては,効果(ディスカウント・分割)だけは適用されて,不当だという感覚があるでしょう。
しかし,仮に手続きに参加しても,申立内容に不正なことがなければ,再生計画案が認可されたことには変わりはない,とも考えられます。
そこで,終了した手続きを優先して,「効果はひっくり返さない」ということになるのです。
とは言っても,絶対,ということではありません。
意図的に,一部の債権者を債権者一覧表から除外して申立を行ったようなケースでは,さすがにペナルティが必要でしょう。
再生計画案認可の確定後であれば,「再生計画の取消し」という制度があります(民事再生法189条)。
再生計画が「不正の方法により成立した」場合が取消とります(同条1号)。
一例としては,「債権額が大きく(過半数),確実に反対すると思われる債権者」を,意図的に除外したようなケースが挙げられます。
つまり,次のような流れが想定されるので,これを避ける目的で意図的に記載から除外した,という状況です。

債権者一覧表に載せる→通知が届く→反対する→不認可となる

なお,タイミングが「再生計画案認可の確定後」よりも早い段階であれば,別のストッパーが発動されることになります。

[民事再生法]
(再生計画の取消し)
第百八十九条  再生計画認可の決定が確定した場合において、次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、裁判所は、再生債権者の申立てにより、再生計画取消しの決定をすることができる。
一  再生計画が不正の方法により成立したこと。
二  再生債務者等が再生計画の履行を怠ったこと。
三  再生債務者が第四十一条第一項若しくは第四十二条第一項の規定に違反し、又は第五十四条第二項に規定する監督委員の同意を得ないで同項の行為をしたこと。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINE
【民事再生|債権届がない債権の『劣後化』|計画期間満了後・減額・分割払い】
【建物賃貸借における『敷金』『保証金』|法的性格・違い】

関連記事

無料相談予約 受付中

0120-96-1040

受付時間 平日9:00 - 20:00