【通称への名の変更許可申立の裁判例(許可した)】

1 通称使用7年・小中高校時代→変更許可
2 通称使用10年→変更許可
3 通称使用10年・人名用漢字外への変更→変更許可
4 通称使用10数年・姓名判断→変更許可
5 貯金名義含めた通称使用10年→変更許可
6 通称使用12年→変更許可
7 通称使用16年・12歳頃に姓名判断→変更許可
8 通称使用18年・小学生から→変更許可
9 通称使用20数年・宗教上の法名→変更許可
10 通称使用20数年→変更許可
11 通称使用20余年・姓名判断→変更許可
12 通称使用20余年・人名用漢字外への変更→変更許可
13 通称使用36年・人名漢字外→変更許可
14 通称使用50年・姓名判断→変更許可

1 通称使用7年・小中高校時代→変更許可

長期間使用された通称名への変更は原則的に許可されます。
詳しくはこちら|通称への名の変更の許可基準
本記事では,原則どおりに名の変更が許可された事例を紹介します。おおむね,通称の使用期間が短いものから長いもの,という順に示します。

<通称使用7年・小中高校時代→変更許可>

あ 事案

Aは通称を約7年間使用していた
小学校在学当時から高校卒業・就職に至るまで
終始通称名を使用していた

い 裁判所の判断

通称の使用が自他ともに便宜である
→許可した
※名古屋高裁昭和28年月日不明(家月5巻5号p179)

2 通称使用10年→変更許可

<通称使用10年→変更許可>

あ 事案

Aは10年間以上通称を使用していた
職務関係,一般社会生活ともに通称を使用した

い 裁判所の判断

変更を許可した
※仙台高裁昭和32年2月18日

3 通称使用10年・人名用漢字外への変更→変更許可

<通称使用10年・人名用漢字外への変更→変更許可>

あ 変更希望の名

戸籍名『久一』→通称名『脩員』(ひさかず)

い 事案

Aは大学事務員として勤務している
通称を10年間使用している
日常生活・勤務先・納税など

う 問題点=難解難読

『脩』の字は人名用漢字には含まれない
『脩員』の名は通常人にとり読みにくい

え 裁判所の判断(評価)

ア 戸籍法の名の字の制限について 現に通用している名の使用を禁止しているわけではない
イ 使用する名の字の制限について 一片の法令でもつて禁止できる筋合のものではない
ウ 制限される名への変更許可について 国家の文教政策には若干反するところがある
しかし,法が改名を拒否することは却って呼称秩序を害する
改名許容は已むを得ないことである

お 裁判所の判断(結論)

社会生活上,万事不便をきたしている
→変更を許可した
※東京家裁昭和35年10月31日

4 通称使用10数年・姓名判断→変更許可

通称名については,その動機が姓名判断によるものであっても原則的に許可は否定されません。
詳しくはこちら|通称への名の変更の許可基準

<通称使用10数年・姓名判断→変更許可>

あ 事案

Aは姓名判断により通称使用を始めた
通称を10数年使用してきた
社会的・私的生活領域において使用した

い 裁判所の判断

通称がAの名であると一般的に信じられる状態に至った
前科を隠す不当な目的のものとは認められない
→変更を許可した
※広島高裁岡山支部昭和52年4月25日

5 貯金名義含めた通称使用10年→変更許可

通称の使用期間のうち,貯金の名義までの使用が10年であったケースです。通称の使用期間全体はこれよりも大幅に長かったはずです。

<貯金名義含めた通称使用10年→変更許可>

あ 変更希望の名

戸籍名『留子』(とめこ)→通称名『とし子』(としこ)

い 羞恥

Aは小学校在学中周囲からからかわれた
戸籍名を元に『とーめこ』と呼ばれた
女性の恥部を示すという趣旨である
非常に恥ずかしい思いをした
Aは戸籍名を極端に忌み嫌うようになった

う 通称使用

Aは小学校卒業以来,専ら通称名を使用した
書信の往来など
その後,郵便貯金も通称名を用いるようになった
貯金名義の通称使用だけで10年間である
青年学級の修業証書も通称名を用いていた

え 裁判所の判断

日常生活上は通称名で一般に認識されている
→変更を許可した
※大阪高裁昭和33年12月4日

6 通称使用12年→変更許可

<通称使用12年→変更許可>

あ 事案

Aは迷信に基づき通称名の使用を始めた
約12年間にわたって使用を続けた

い 裁判所の判断

変更を許可した
※広島高裁昭和36年3月6日

7 通称使用16年・12歳頃に姓名判断→変更許可

<通称使用16年・12歳頃に姓名判断→変更許可>

あ 事案

Aは姓名判断により通称の使用を始めた
通称を16年余の間使用してきた
12歳ころから大学を卒業して就職した後まで

い 裁判所の判断

通称名は広く社会一般に認識されている
社会生活上Aを他から識別する役割を果たしている
→変更を許可した
※札幌高裁昭和50年6月30日

8 通称使用18年・小学生から→変更許可

<通称使用18年・小学生から→変更許可>

あ 変更希望の名

戸籍名『小三』(しょうぞう)→通称『省三』

い 事案

Aは通称を17,8年間使用していた
小学校5,6年生から
戸籍名は公文書で必要がある場合のみ使用した
その他の公私の生活においては一貫して通称を使用した

う 裁判所の判断

変更を許可した
※仙台高裁昭和30年10月10日

9 通称使用20数年・宗教上の法名→変更許可

<通称使用20数年・宗教上の法名→変更許可>

あ 事案

Aは宗教団体における法名を使用していた
講演,執筆,日常の呼称,手紙のやりとりなど
20数年間使用していた

い 裁判所の判断

変更を許可した
※大阪高裁昭和27年10月10日

なお,宗教名への変更自体は長期間の使用がなくても認められやすいです。
詳しくはこちら|宗教上の名(僧名・法名)への変更の許可基準
上記の事案は『長期間の使用=通称名』として分類し,本記事で紹介しました。

10 通称使用20数年→変更許可

<通称使用20数年→変更許可>

あ 事案

Aは社会生活上,通称を使用していた
20数年にわたり使用していた
本名は近年始めた職業上やむを得ず使用しているだけである
周囲は本名を忘れている

い 裁判所の判断

変更を許可した
※大阪高裁昭和27年10月20日

11 通称使用20余年・姓名判断→変更許可

<通称使用20余年・姓名判断→変更許可>

あ 事案

Aは姓名判断による通称の使用を始めた
20余年にわたって通称で公私の生活を営んだ

い 裁判所の判断

通称名でその地位を築き上げた
本名では却って通用しない
→変更を許可した
※仙台高裁昭和32年12月27日

12 通称使用20余年・人名用漢字外への変更→変更許可

<通称使用20余年・人名用漢字外への変更→変更許可>

あ 変更希望の名

戸籍名『敏治』→希望名『歳霽』

い 事案

Aは通称名として約20年余り使用していた

う 裁判所の判断

希望名は難読である
しかし通称の永年使用を優先した
→変更を許可した
※長崎家裁佐世保支部昭和37年11月6日

え 『霽』という漢字の説明

あめかんむりに『齊』という文字の組み合わせ
当用漢字表・人名漢字表には存在しない
音訓(読み)=セイ,サイ,は(れる),さわ(やか)
用例=光風霽月(コウフウセイゲツ)

13 通称使用36年・人名漢字外→変更許可

人名用漢字ではない漢字を含む名への変更ということ自体が不許可となる傾向があります。
詳しくはこちら|変更後の名の常用平易性と変更の許可基準
このケースでは長期間の通称使用の実績の方が重視された結果となりました。

<通称使用36年・人名漢字外→変更許可>

あ 事案

Aは『康敞』(やすたか)という名を使用していた
現行戸籍法の施行の20年前から使用していた
戸籍法施行後は人名漢字外であるため戸籍名にできない
通称としてこの名を使用した
通算約36年間通称を使用してきた

い 裁判所の判断

変更を許可した
※東京高裁昭和39年11月6日

14 通称使用50年・姓名判断→変更許可

<通称使用50年・姓名判断→変更許可>

あ 事案

Aは通称の使用を始めた
理由は戸籍名に対する悪感情・姓名判断による
Aは50年以上にわたり通称名を使用していた
主に次のようなものにおいて使用していた
ア 飲食店の勤務イ 金融機関の預金通帳

い 裁判所の判断

戸籍名に代わって社会生活上本人を表象する機能を持つに至った
→変更を許可した
※仙台高裁平成2年2月19日

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【通称への名の変更許可申立の裁判例(許可しなかった)】

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