【解除できる特約・ローン特約以外|農地転用許可・建築条件・資金調達特約】
1 不動産売買×解除できる特約|概要
2 農地転用許可が条件×許可されない→解除|事案
3 建築条件付売買×広告文言による解除|事例
4 資金調達特約|ローン特約以外
1 不動産売買×解除できる特約|概要
不動産の売買契約にはいろいろな特約が付けられます。
特約の中に,一定の場合に解除できる特約があります。
非常によく使われるのは『ローン特約』です。
(別記事『ローン特約・全体』;リンクは末尾に表示)
本記事では『ローン特約』以外の,解除に関する特約を説明します。
以下,特約が問題となった判例の内容を紹介します。
2 農地転用許可が条件×許可されない→解除|事案
農地を宅地として利用するには『転用許可』が必要です。
『転用許可』を売買の条件とすることもあります。
<農地転用許可が条件×許可されない→解除|事案>
あ 売買契約
売買契約が締結された
土地の所在地が農振地区であった
『農地の転用許可が下りる』ことを条件としていた
代金全額の支払・登記移転がなされた
い 条件の記載
『平成2年5月末日までに許可の見通しがない場合は売主は受領済みの金銭を全額返還する』
う 転用許可が得られない
平成2年5月末日までに転用許可はなされなかった
当該エリアは工場地区に指定された
え 代金返還請求
平成5年6月に買主は売主に代金返還を請求した
売主は返還請求の時期が遅いことを理由にこれを拒否した
※東京高裁平成10年7月29日
<裁判所の判断>
買主の返還請求はやや遅かった
しかし,信義則違反・権利濫用とまでは言えない
→代金返還請求を認めた
※東京高裁平成10年7月29日
3 建築条件付売買×広告文言による解除|事例
土地の売買と建物建築がセットになることがあります。
いわゆる『売り建て』というものです。
この場合,特定の業者に建築を発注することが前提となっています。
このような契約方式でトラブルとなった事例を紹介します。
<建築条件付売買×広告文言による解除|事例>
あ 契約締結
建築条件付土地売買契約が締結された
い 建設条件=特約の内容
『買主は売買契約締結後3か月以内に売主との住宅建築請負契約を締結する』
請負契約が締結されなかった場合の記載はなかった
う 広告の記載
売主は広告文言として次のように掲載していた
ア 請負契約が成立しない場合,売買契約は白紙となるイ 受領した金銭は全額無利息にて返却する
え 建物建築請負契約に向けた交渉
買主は建物建築請負を発注しようとした
建物の仕様・設備・間取り・面積・金額について協議なされた
最終的に合意に達しなかった
お 解除通知
買主は売主に,売買契約を解除すると通知した
売主は『契約書にはそのような条項はない』と主張した
※名古屋高裁平成15年2月5日
<裁判所の判断>
広告文言は特約として有効である
→解除請求を認めた
※名古屋高裁平成15年2月5日
4 資金調達特約|ローン特約以外
売買契約の代金の調達方法が『ローン』であることが非常に多いです。
もちろんローン以外によって資金を調達するケースもあります。
ローン以外の調達方法に関して『特約』として付けることもあります。
例えば『他の不動産の売却代金』が典型的です。
このような資金調達特約による解除もローン特約と同様の解釈論があります。
『仲介手数料請求』という訴訟で資金調達特約が扱われた判例もあります。
これについては別の記事で紹介しています。
(別記事『仲介業者の責任』;リンクは末尾に表示)
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