【道路の不法占有｜行政による解消｜除去命令＋行政代執行｜大阪たこ焼き屋台事件】

１　『道路の不法占有』｜除去命令→行政代執行

公道が不法占有されている場合，行政による『占有解消』方法があります。
除去命令と，これに占有者が応じない場合の行政代執行です。
これらについて以下，まとめます。

道路法では『違反行為』への対応として『監督処分』が規定されています。
その一環として『除去命令』があります。
まずは『監督処分』の全体をまとめます。

道路管理者

ア　既に出された許可・承認・認定取り消すor効力を停止or条件を変更する命令
イ　中止行為or工事の中止命令
ウ　物理的な変更道路に存する工作物その他の物件について
→改築・移転・除却・原状回復命令

ア　規定違反道路法or命令orこれらの規定に基づく処分に違反している者
イ　条件違反許可or承認に付した条件に違反している者
ウ　不正な許可など詐偽その他不正な手段により許可・承認・認定を受けた者
※道路法７１条１項

除去命令に応じない場合，行政は『強制的な撤去』をすることができます。
これは『行政代執行』という手続です。
行政代執行の手続や要件などは別記事で詳しく説明しています。
詳しくはこちら｜行政代執行｜基本・手続｜『命令』が前提・裁判所不要・罰則との関係

除去命令に応じない場合の罰則も規定されています。
行政代執行で強制的に撤去されても刑事責任は解消されません。

道路管理者の命令に違反した

罰金１００万円以下
※道路法１００条４号

行政代執行において，実際に攻防が展開された事例を紹介します。

たこ焼き屋台の店主は，商店街内にたこ焼き屋台を設置・占用していた
この道路は『市道』であった
大阪市が除却命令を発した
※道路法３２条１項，４３条，７１条１項
代執行の戒告をした
※行政代執行法２条，３条１項

ア　除却命令の取消イ　行政代執行の手続の停止

屋台の除却→店主は営業の場所的基盤を失う
この損害は『財産上の損害』である
＝損害賠償その他の方法により填補され得るものである
特に回復が困難とは言えない

『重大な損害』は生じない
『信義則に反する』という事情もない
→除却命令の取消・執行停止のいずれも認めない
※行政事件訴訟法２５条２項
※大阪地裁平成２２年１２月１５日

裁判において，判断が確定した後は，店主側が自主撤去を行いました。

裁判終了後，店主が屋台を自主的に撤去した
『行政代執行』が実際に実行されることは回避された
※各社報道