1 法定相続人は『配偶者』と『子供→両親→兄弟』となっている
2 相続欠格|悪質性の高い行為→相続人から除外される
3 廃除|虐待・侮辱・非行→家裁の判断で相続人から除外する
4 廃除|実務の実情=破綻・別居中の夫婦の活用例が多い
5 相続欠格・廃除の効果|相続権・遺留分権を失う
6 相続人が存在しない場合『特別縁故者』が財産を承継できることがある

1 法定相続人は『配偶者』と『子供→両親→兄弟』となっている

法定相続人の範囲は民法上,明確に規定されています。
具体的には次のように順位が決まっています。

<法定相続人の範囲(順位)>

※被相続人から見た親族関係です。
ア 妻と子供(胎児も含む)
イ 子供がいない場合は,被相続人の父母(または祖父母)(※1)
ウ 父母・祖父母が亡くなっている場合は,被相続人の兄弟姉妹
※民法900条

※1 『孫』が相続できる制度もあります。
子が亡くなっている場合,その子(孫)が相続人となる;代襲相続

子供には死後認知される場合も含まれます。
詳しくはこちら|死後の認知|全体|認知を回避or遅らせる背景事情|相続→金銭賠償
例外的に,これら以外の者が遺産を承継できる場合もあります(後述)。

2 相続欠格|悪質性の高い行為→相続人から除外される

相続人でも,例外的に相続権を制限されることもあります。
相続欠格廃除という制度です。
まずは相続欠格についてまとめます。

<相続欠格>

あ 相続欠格の事由

ア 被相続人又は相続について先順位・同順位の者への殺人・殺人未遂
→故意,かつ,刑事罰の執行(執行猶予期間満了は含まれない)
イ 被相続人の殺害を知ったが告訴・告発を行わなかった
ウ 詐欺又は強迫により,遺言の作成・変更等を強要した,又は妨げた
エ 遺言を偽造,変造,破棄,隠匿した

い 相続欠格の手続

家裁の審判などの手続は不要である

う 相続欠格の効果

相続人から除外される
→『遺留分』の権利も失う
※民法891条

相続欠格は,これ自体についての裁判所の手続はありません。
なお『遺言の偽造』はその判断で争いになることが多いです。
詳しくはこちら|遺言無効|偽造|判断方法|自筆性=筆跡・自書能力・遺言の体裁・動機

3 廃除|虐待・侮辱・非行→家裁の判断で相続人から除外する

相続人から除外する,もう1つの制度として『廃除』があります。

<廃除>

あ 廃除の事由

ア 被相続人に対する虐待・重大な侮辱
イ その他著しい非行

い 廃除の手続|家裁の審判

家裁に審判を申し立てる

う 廃除の手続|申立人
申し立てる時期 申立人
相続開始前(生前) 本人(被相続人と想定される者)
相続開始後(死後) 遺言の記載→遺言執行者
え 廃除の手続|家裁の審理

家裁が『廃除の理由』の有無を審理する
→家裁が『審判』として決定する

お 廃除の効果

相続人から除外される
→『遺留分』の効果も失う
※民法892条,893条

ただし虐待侮辱などを家庭裁判所が認定して初めて廃除が適用されます。
この家庭裁判所の審判は,被相続人が申し立てるか,遺言における廃除の意思表示によりなされます。

4 廃除|実務の実情=破綻・別居中の夫婦の活用例が多い

廃除の制度・手続が利用される実情はある意味『想定外』かもしれません。
利用される状況の典型的なものをまとめます。

<廃除|利用の実情>

あ 廃除の利用・実情
子(息子・娘)との対立 多くない
配偶者との対立 多い

※丸山秀平『事業承継特例法と事業承継の法務・税務』三協法規出版p165

い 夫婦間の廃除|典型的状況

夫が多くの資産を持っている
夫婦関係が破綻し,別居している
しかし妻が離婚に応じない

う 妻が離婚を拒否する理由|典型例

・高額の婚姻費用
・将来の相続による財産承継

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5 相続欠格・廃除の効果|相続権・遺留分権を失う

対象の相続人は相続できなくなります。
また,遺留分の権利も失います。
遺留分は相続人である=相続権がある,ことが前提となっているからです。
別項目;遺留分;趣旨,権利者,遺留分割合

6 相続人が存在しない場合『特別縁故者』が財産を承継できることがある

相続人が存在しない場合,原則として,遺産はに移転します。
相続人が存在しない場合,国庫帰属,共有者,特別縁故者に財産が承継される
しかし,例外的に,故人と関係が濃厚であった者に,財産を承継させる制度があります。
例えば内縁の妻が典型例です。
別項目;縁故の内容と相続財産によっては遺産の承継が認められる;特別縁故者