1 特別受益の制度と判断基準(概要)
2 資金の使途による特別受益該当性の判断の傾向
3 贈与の資金の使途別の特別受益性の傾向
4 贈与の資金の使途の分類と判断の実例(概要)

1 特別受益の制度と判断基準(概要)

相続人への生前贈与のうち一定のものは特別受益に該当します。その場合不公平を回避するために相続分の算定で持戻しが行われます。
詳しくはこちら|特別受益の基本的事項(趣旨・持戻しの計算方法)
実際に特別受益に該当するかどうかは見解の対立が生じやすいです。判断基準もありますが,これだけで明確に判別できるわけではありません。
詳しくはこちら|特別受益に該当するか否かの基本的な判断基準
本記事では,生前贈与を目的,つまり資金の使途によって分類します。資金の使途による判断の傾向について説明します。

2 資金の使途による特別受益該当性の判断の傾向

生前贈与は通常,何らかの使途が前提としてあるはずです。つまり,贈与の目的があるのです。贈与の目的や資金の使途による,特別受益の該当性の判断の傾向をまとめます。

<資金の使途による特別受益性判断の傾向>

あ 価値が残る財産

ア 判断の傾向
その後に『価値が残る』ものの生前贈与
=いわゆる『ストック』性のもの
→特別受益に該当すると判断される傾向がある
イ 具体例
・不動産(購入資金)
・結婚生活(に関する資金)
経済的価値だけでみると大きな評価額となることもある
詳しくはこちら|収入大→離婚時の清算が大きくなる;婚費地獄,結婚債権評価額算定式

い 消費性の財産

ア 判断の傾向
その後に『価値が残らない』ものの生前贈与
=いわゆる『フロー』性のもの
→特別受益に該当しないと判断される傾向がある
イ 具体例
毎月の純粋な生活費の仕送り

3 贈与の資金の使途別の特別受益性の傾向

実際に特別受益の該当性が問題となりやすい資金の種類は決まっています。代表的な資金の種類と,特別受益の判断の傾向をまとめます。

<贈与の資金の使途別の特別受益性の傾向>

あ 特別受益性の判断の傾向
贈与の対象・目的 特別受益性
婚姻・養子縁組の費用 ☓(前記※1)
住宅購入資金・不動産
事業資金・営業資本
大学の学費
留学費用
大学時代の仕送り
生命保険・死亡退職金の受取
高額な動産
借金の肩代わり返済・返済資金の贈与
い 補足説明

特別受益性の記号について
『○』=特別受益に該当する傾向
『☓』=特別受益に該当しない傾向

4 贈与の資金の使途の分類と判断の実例(概要)

実際に,いろいろな資金の種類について多くの裁判例が蓄積されています。具体的な事案の判断を考える上で,判断の実例はとても参考になります。
実例は,次のように分類して,それぞれ別の記事で紹介しています。

<贈与の資金の使途の分類と判断の実例(概要)>

あ 不動産

詳しくはこちら|不動産の権利・利益や資金の供与(贈与)と特別受益(実例と判断)

い 学費

詳しくはこちら|大学の学費の負担(贈与)と特別受益(判断基準と実例)

う 婚姻・養子縁組

条文上規定されている贈与の目的である(前記※1)

え その他

詳しくはこちら|その他の目的の生前贈与と特別受益(実例と判断)