1 遺言事項と処分可能性
2 補充遺言の機能と条項の例

1 遺言事項と処分可能性

遺言の『財産の承継』として記載するのは,当然『遺言者に帰属する財産』です。
つまり『相続財産=遺産』です。具体的には『被相続人に帰属するプラス・マイナス財産』です。
『遺言者=被相続人』に帰属しない財産を遺言に記載しても効力を生じません。
しかし実際に『処分できない内容』の遺言(条項)が残されている,というケースは結構あります。

<遺言事項と処分可能性>

あ 遺言事項と処分可能性

遺言による財産の承継について
→『遺言者が処分できるもの』に限られる
詳しくはこちら|法定相続人と相続財産の範囲と例外;廃除,欠格,特別縁故者
→『処分できない財産』を処分する遺言事項は無効となる

い 処分できない財産の例

ア 親族の所有物
イ 同族会社の所有物
※東京地裁昭和61年1月28日

『赤の他人』の財産を遺言に記載してしまうことは普通ありません。
理論ではなく感覚的に『自分の物』『自分が動かせる』という財産を書いてしまうミスが生じやすいのです。

2 補充遺言の機能と条項の例

遺言は『将来遺言者が死亡した時点で効力を発生する』という根本的な性質があります。
そこで遺言に財産承継者を記載しておいても『遺言者よりも先に亡くなる』ということが生じます。
この場合,遺言の設定内容どおりに財産が承継されません。
このような場合も含めて,遺言に記載しておく方法が望ましいです。

<補充遺言の機能と条項の例>

あ 死亡時期による想定外

遺言者Aの死亡時に財産の承継者Bが既に亡くなっていた場合
→遺言の条項が無効となる可能性がある
AとBが同時に死亡した場合も想定外となることがある
詳しくはこちら|同時死亡の推定|死亡順序による違い・典型=災害・事故・脳死

い 補充遺言の機能

Bが亡くなっていた場合の財産の承継者を遺言で指定しておく

う 条項の具体例

『妻◯◯が遺言者より先または同時に死亡していた場合は,妻◯◯に相続させると記した財産を長男◯◯に相続させる』

感覚的には『親より子が先に亡くなる』ということは『縁起が悪い』という印象があります。
しかし,現実の『想定外の者への財産承継』を回避するためには有益です。