1 受益者代理人|基本
2 受益者代理人|欠格事由
3 受益者代理人の選任|特徴
4 受益者代理人|活用目的・趣旨
5 受益者代理人|活用リスク・予防策

1 受益者代理人|基本

受益者の権利行使をスムーズにする制度があります。
法改正で導入されたものです。

<受益者代理人|基本>

あ 受益者代理人|基本

信託行為において『受益者代理人』を選任できる
遺言・信託契約の条項で指定する

い 受益者代理人の立場

受益者を代理する者である

う 受益者代理人の権限

受益者の権利に関する一切の行為をする権限がある
裁判上・裁判外のいずれの権限をも含む
権限の範囲を限定することもできる

え 受益者代理人の義務

ア 誠実公平義務
イ 善管注意義務
※信託法138条

2 受益者代理人|欠格事由

受益者代理人には『欠格事由』があります。
活用する際は注意する必要があります。

<受益者代理人|欠格事由>

あ 基本

次の『い・う』に該当する場合
→受益者代理人になることはできない

い 制限行為能力者

未成年者・成年被後見人・被保佐人

う 利益相反

当該信託の受託者
※信託法144条,124条

3 受益者代理人の選任|特徴

受益者代理人は状況によってはとても使い勝手が良いものです。
受益者代理人の制度の特徴を整理します。

<受益者代理人の選任|特徴>

あ 受益者代理人の選任|特徴

受益者代理人には次の特徴がある
『信託行為のみ』によって選任できる
『裁判所が選任する』手続はない
※信託法138条

い 比較|信託管理人・信託監督人

信託管理人・信託監督人の選任について
→裁判所の関与が必要となることがある
※信託法123条4項,131条4項

4 受益者代理人|活用目的・趣旨

受益者代理人制度の活用目的・趣旨についてまとめます。

<受益者代理人|活用目的・趣旨>

あ 受益者の利益保護

特定の受益者の行為による他の受益者の利益侵害を防止する

い 信託事務の円滑化

受益者の統一的な権利行使を図る

う 受益者の能力不足への対応

ア 不都合|典型例
遺言代用信託において
受益者が高齢者・障害者である
受益者が専門家ではない
→受益者の判断能力・事務処理能力が不足している
→受益権の行使が実効的ではない
イ 受益者代理人の活用
受益者代理人により『ア』の不都合を回避できる
※寺本振透『解説新信託法』弘文堂p196

5 受益者代理人|活用リスク・予防策

受益者代理人の活用の際は,注意すべきこともあります。

<受益者代理人|活用リスク・予防策>

あ リスク

受益者代理人の判断・行為について
→受益者の意向に合致しないリスクがある

い 予防策

ア 受益者が受益者代理人を監督・コントロールする
イ 『ア』の実効性を確保しておく
※今川嘉文『誰でも使える民事信託』日本加除出版p51,p96