1 遺産分割|原則→対抗関係・肯定
2 遺産分割『後』の第三者→対抗関係・肯定
3 遺産分割vs第三者保護|理論・範囲

1 遺産分割|原則→対抗関係・肯定

相続に関する財産移転の法的性格の問題があります。
『対抗関係』になるかどうかという解釈論です。
詳しくはこちら|相続×対抗関係|全体|真実と登記の食い違い・要因=相続人による処分
本記事では『遺産分割』の扱いについて説明します。
まずは基本的な分類を整理します。

<遺産分割×対抗関係|法定相続の範囲内/外>

あ 前提事情

相続人が遺産を第三者に譲渡した
その後,遺産分割が完了した

い 対抗関係となるか否か

相続人が取得した遺産を次の『う・え』の2つに分類する

う 法定相続の範囲内

相続人が取得した遺産のうち
法定相続の範囲内の部分について
→対抗関係にはならない

え 法定相続の範囲外

相続人が取得した遺産のうち
法定相続の範囲を超える部分について
→対抗関係になる
※最高裁昭和46年1月26日

『う』は対抗関係になりません。
第三者は登記取得による優先扱いが適用されません。
ただし,別の規定による保護は適用されます(後記※1)。

2 遺産分割『後』の第三者→対抗関係・肯定

遺産分割の完了後に遺産が譲渡されることもあります。
この場合の譲受人を『遺産分割後の第三者』と呼びます。
この状態での相続人と第三者は対抗関係となります。

<遺産分割『後』の第三者→対抗関係・肯定(※2)>

あ 前提事情

遺産分割が完了した
その後,相続人が遺産を第三者に譲渡した

い 対抗関係となるか否か

全面的に対抗関係となる
※民法177条
※最高裁昭和46年1月26日

3 遺産分割vs第三者保護|理論・範囲

遺産の譲受人=第三者と相続人の関係について説明してきました。
以上の説明は『対抗関係』になるか否かという解釈論でした。
これとは別に『第三者保護』のルールがあります。
対抗関係・対抗要件のルールも第三者を保護することにつながります。
『第三者保護』という視点でまとめます。

<遺産分割vs第三者保護|理論・範囲>

あ 遺産分割『前』の第三者(※1)

民法909条但書の『第三者』に該当する
→遺産分割により『第三者の権利』を害することはできない
→登記とは関係なく『第三者』が優先となる

い 遺産分割『後』の第三者

対抗関係となる(前記※2)
→登記により優劣が決まる
※177条
※最高裁昭和46年1月26日