1 減殺請求後の第三者→保護規定適用否定|概要
2 遺留分×減殺請求後の第三者|判例
3 遺留分減殺請求後の譲渡×譲渡人の責任

1 減殺請求後の第三者→保護規定適用否定|概要

遺留分に関する『第三者』保護規定があります。
民法1040条1項のルールです。
判例で,『減殺請求前の譲渡』だけが対象とされています。
詳しくはこちら|遺留分×第三者保護|基本|適用対象・価額賠償
しかし法律上,遺留分減殺請求『後』の第三者の保護もあります。
本記事では減殺請求後の第三者の扱いについて説明します。

2 遺留分×減殺請求後の第三者|判例

遺留分減殺請求『後』の第三者の法的扱いをまとめます。

<遺留分×減殺請求後の第三者|判例>

あ 減殺請求後の第三者|具体例

遺留分減殺請求がなされた
その後に目的物が第三者に譲渡された

い 減殺請求後の第三者|対抗関係

遺留分権利者と減殺請求後の第三者の関係
→対抗関係となる
→登記を得た者が優先となる
※民法177条
※最高裁昭和35年7月19日

一般的な対抗関係・対抗要件については別に説明しています。
詳しくはこちら|対抗要件・登記の基本|種類・獲得時期・不完全物権変動・単純/背信的悪意者

3 遺留分減殺請求後の譲渡×譲渡人の責任

遺留分減殺請求『後』の譲渡で対抗関係が生じます(前記)。
第三者が登記を得ると,遺留分権利者が権利を得られません。
代わりに『譲渡人』の方に責任が生じます。

<遺留分減殺請求後の譲渡×譲渡人の責任>

あ 前提事情

遺留分減殺請求後に目的物を譲渡した
→譲渡した者は法的責任を負う
法的責任の構成は『い・う』の2とおりがある

い 不法行為責任

譲渡人は不法行為責任を負う
※大阪高裁昭和49年12月19日
※最高裁昭和51年8月30日
※神戸地裁平成3年10月23日

う 不当利得責任

譲渡人は不当利得返還義務を負う
※名古屋地裁昭和51年9月28日