1 遺留分減殺請求×転得者|基本
2 遺留分減殺請求×転得者|善意→善意
3 遺留分減殺請求×転得者|善意→悪意
4 遺留分減殺請求×転得者|悪意→悪意
5 遺留分減殺請求×転得者|悪意→善意

1 遺留分減殺請求×転得者|基本

遺留分よりも『第三者』が保護されるルールがあります。
詳しくはこちら|遺留分×第三者保護|基本|適用対象・価額賠償
この『第三者』がさらに別の者に対象物を譲渡するケースもあります。
このようなケースでの第三者保護規定の解釈論を説明します。
状況がかなり複雑になります。
まずは当事者・状況や前提となる解釈を整理します。

<遺留分減殺請求×転得者|基本>

あ 前提事情|整理

被相続人=A
受贈者=B
相続人=遺留分権利者=C
Bが譲受人Dに対象物を譲渡した
Dが転得者Eに対象物を譲渡した
Cは遺留分減殺請求を行った

い 共通見解

Dへの価額賠償請求はできる

う 複数の見解

Eへの現物返還請求について
→D・Eの主観によって異なる
見解自体が複数ある

解釈の本体はD・Eの『善意/悪意』で分けられます。
2×2の4つのマトリックスに分類します。
4つを順に説明します。

2 遺留分減殺請求×転得者|善意→善意

<遺留分減殺請求×転得者|善意→善意>

あ 主観

D=善意
E=善意

い 解釈

Eに対して現物返還を請求できない
見解による違いはない

3 遺留分減殺請求×転得者|善意→悪意

<遺留分減殺請求×転得者|善意→悪意>

あ 主観

D=善意
E=悪意

い 見解|否定説

Eに対して現物返還を請求できない
※中川善之助『註釈相続法(下)』有斐閣p271

う 見解|肯定説

Eに対して現物返還を請求できる

4 遺留分減殺請求×転得者|悪意→悪意

<遺留分減殺請求×転得者|悪意→悪意>

あ 主観

D=悪意
E=悪意

い 解釈

Eに対して現物返還を請求できる
※中川善之助ほか『相続法 第4版』有斐閣p669
※青山道夫『相続法』評論社p272
※中川善之助・東北大学民法研究会『注解相続法』法文社p468

5 遺留分減殺請求×転得者|悪意→善意

<遺留分減殺請求×転得者|悪意→善意>

あ 主観

D=悪意
E=善意

い 解釈

Eに対して現物返還を請求できない
※中川善之助ほか『相続法 第4版』有斐閣p669
※青山道夫『相続法』評論社p272
※中川善之助・東北大学民法研究会『注解相続法』法文社p468