1 遺留分減殺請求権|時効・時間制限
2 遺留分|時効×対策
3 遺留分の時効を回避するための通知の工夫(概要)
4 遺留分減殺請求・通知後の時間制限
5 遺留分減殺請求×取得時効

1 遺留分減殺請求権|時効・時間制限

遺留分減殺請求権には,次のような時間制限があります。

<遺留分減殺請求権|時効・時間制限>

遺留分が侵害されていることを知ってから1年
相続の開始から10年
※民法1042条

2 遺留分|時効×対策

遺留分の時間制限は短いので行使する者は注意が必要です。
時間制限を回避する方法や注意点をまとめます。

<遺留分|時効×対策>

あ 時効の回避|基本

遺留分減殺請求の意思表示(通知)を行う

い 通知の効果

『あ』の通知が『相手方に到達』する
→この時点で『権利移転』という効果が確定的に生じる
※民法97条1項
→時効から解放された状態となる
『時効の中断』とは異なる

う 権利移転|具体例

遺留分権利者が次の権利を取得する
ア 所有権(共有持分)
イ 債権(準共有持分)

え 権利実現との違い

実際に『登記の取得・債権の回収』まで完了しなくても
→『権利の移転』は完了した状態となる

3 遺留分の時効を回避するための通知の工夫(概要)

遺留分減殺請求の時効による消滅を回避するために,通知はしっかりと証拠にすると良いです。
具体的な通知の方法については別に説明しています。
詳しくはこちら|遺留分減殺請求権の行使(理論と実務的な通知の工夫や仮処分)

4 遺留分減殺請求・通知後の時間制限

遺留分減殺請求の通知後に,見解の対立が具体化することが多いです。
遺留分算定内容について見解が相違して訴訟に至るというプロセスです。
各アクションの時間制限についてまとめます。

<遺留分減殺請求・通知後の時間制限>

あ 基本的理論

遺留分減殺請求の通知をした後
→登記移転や目的物の引渡を請求する
→これらについての時間制限の規定はない

い 登記手続請求|判例

登記手続請求自体について
→遺留分に関する時間制限は適用されない
※最高裁平成7年6月9日

い 目的物返還請求|判例

遺留分減殺請求の目的物の返還請求自体について
→遺留分に関する時間制限は適用されない
※最高裁昭和57年3月4日

5 遺留分減殺請求×取得時効

遺留分減殺請求に対して『取得時効』の反論が考えられます。
これについての解釈論をまとめます。

<遺留分減殺請求×取得時効>

あ 前提事情

生前贈与の受贈者が対象物を占有している
後から『遺留分減殺請求』がなされた

い 取得時効の主張

受贈者が『取得時効』を援用し,主張する

う 解釈|判例

遺留分権利者と受贈者は『対抗関係』ではない
→遺留分減殺請求が優先される
→取得時効は適用されない
※最高裁平成11年6月24日