1 遺言の偽造・自筆性|判断方法
2 自筆証書遺言の偽造|自筆性|立証方法|具体例
3 遺言作成の強要/偽造|違い
4 遺言の偽造×相続欠格|相続人から除外される

1 遺言の偽造・自筆性|判断方法

公正証書遺言では『偽造』ということは通常生じません。
しかし自筆証書遺言では『偽造』が疑われるケースがとても多いです。
『偽造』かどうかの判断方法についてまとめます。

<自筆証書遺言の偽造・自筆性|判断方法>

あ 筆跡の同一性

対照文書を使って判断する(後記)

い 遺言者の自書能力の存否・程度

これも対照文書によって判断する
つまり同時期の本人の筆記したものにより判断する

う 遺言書それ自体の体裁・複雑性

ア 物理的状況
用紙・筆記具・朱肉・インクの濃淡
イ 筆記内容
言葉遣い・文章形式

え 遺言の動機・理由

遺言者の状況と遺言内容の整合性・合理性

お 遺言書の保管状況・発見状況

発見経緯が自然かどうか
遺言の存在を相続人が知らされていなかったケースもある

当然ですが,このように多くの事情によって判断するのです。

2 自筆証書遺言の偽造|自筆性|立証方法|具体例

自筆証書遺言の偽造の判断では自筆性が重要です(前記)。
自筆性についての具体的な立証方法についてまとめます。

<自筆証書遺言の偽造|自筆性|立証方法|具体例>

あ 自書性|重要性

『遺言者の筆跡』により『真意で記載した』と判断できる
→『照合文書』により立証する
※民事訴訟法229条1項

い 照合文書

筆跡の同一性を判断するために参照する文書
例;同一時期に記載した日記・メモなど
原本が有利である
多数あると有利である

う 筆跡鑑定

照合文書と遺言の比較対象を『鑑定』として行うこともある
ただし,精度には限界がある

3 遺言作成の強要/偽造|違い

遺言の『偽造』と『強要された作成』は近いと言えます。
両方とも『遺言の無効』に結びつくものです。
しかし状況によって違います。

<遺言作成の強要/偽造|違い>

あ 法的な扱い|基本

『偽造』と『真意ではない』は別である

い 『強要』→『真意ではない』

遺言作成を強要された,というケースも多い
これは記載自体は本人である
→偽造ではない
→しかし『真意ではない』
→別の理論によって『無効』となることがある
(別記事『遺言無効・全体』;リンクは末尾に表示)

偽造/強要によって『無効』を主張する理論や立証内容は異なります。

4 遺言の偽造×相続欠格|相続人から除外される

相続人が遺言を偽造した場合『相続』に関するペナルティがあります。
『相続欠格』という制度です。

<遺言の偽造×相続欠格>

相続人が遺言を『偽造』した場合
→相続人から除外される
相続権・遺留分のいずれも剥奪される
※民法891条
詳しくはこちら|相続人の範囲|法定相続人・廃除・欠格|廃除の活用例