1 特別縁故者×法人|肯定例|自然人に限られない
2 特別縁故者×療養看護の事業者|具体例
3 特別縁故者×療養看護の事業者|判断基準
4 特別縁故者の判断×業務の対価|対価以上の献身性
5 特別縁故者|介護施設の法人|肯定された事例

1 特別縁故者×法人|肯定例|自然人に限られない

特別縁故者の典型例は内縁者という『自然人』です。
一方で『法人・社団』についても認められることがあります。
本記事では『法人・社団』が特別縁故者となる場合について説明します。

<特別縁故者×法人|肯定例>

あ 法人・社団(一般論)

認められる
各種の法人について後記

い 地方自治体

※熊本家裁昭和39年3月31日
※大阪家裁昭和42年4月13日

う 学校法人

※大阪家裁昭和51年12月4日

え 宗教法人

※東京家裁昭和40年8月12日

お 公益法人

※大津家裁昭和52年9月10日

か 社会福祉法人

※松江家裁昭和54年2月21日

き 法人格なき社団

※長崎家裁昭和41年4月8日
※那覇家裁石垣支部平成2年5月30日

代表的な法人・社団は『療養看護』の施設です。
具体例については次に説明します。

2 特別縁故者×療養看護の事業者|具体例

特別縁故者として認められる『療養看護の事業者・施設』をまとめます。

<特別縁故者×療養看護の事業者|具体例>

あ 町立養老院

※熊本家裁昭和39年3月31日

い 市立養老院『A荘』

法人格のない『養老院』として認められた
※長崎家裁昭和41年4月8日

う 県立『B園』

法人格のない老人ホームとして認められた
※那覇家裁石垣支部平成2年5月30日

3 特別縁故者×療養看護の事業者|判断基準

療養看護の事業者・施設が特別縁故者として認められる基準をまとめます。

<特別縁故者×療養看護の事業者|判断基準>

あ 被相続人が受けていた入所中の事情

『一般的な介護内容』を超える程度
例;死亡時の葬儀執行の状況など
被相続人の次のような気持ちが推測される
『財産を公益事業に使用して欲しい』

い 法人の内容

公益事業を目的とする

う 被相続人の意思

『他の入所者にも同様の恩恵に浴してもらいたい』という心情

え 財産分与の相当性に関する事情

具体的な使途の予定の『公益性』
※北岡秀晃ほか『特別縁故者をめぐる法律実務』日本法規p210

4 特別縁故者の判断×業務の対価|対価以上の献身性

サービスの対価が払われている場合の『特別縁故者の判断』についてまとめます。

<特別縁故者の判断×業務の対価>

あ 前提となる関係性

サービス提供と料金という対価関係がある

い 原則

『特別の縁故』には該当しない

う 例外

『対価以上の献身的な療養看護』と言える場合
→『特別の縁故』が否定されることにはならない
※高松高裁平成26年9月5日
※北岡秀晃ほか『特別縁故者をめぐる法律実務』日本法規p12,15,167

5 特別縁故者|介護施設の法人|肯定された事例

介護施設の法人が特別縁故者として認められた最近の事例を紹介します。
基本的な判断の枠組みは従前のものとは変わりません。
具体的事案がよくありがちなものです。
実務で有用となる判例と言えます。

<特別縁故者|介護施設の法人|肯定された事例>

あ 事案

被相続人は親族との交流がなかった
全面的な日常生活の介護・介助を継続的に受けていた
被相続人の実母が死亡した時に便宜を図り協力した
内容=葬儀や納骨・相続に関する手続など
被相続人は介護に関して独自の要望・無理な注文を要請した
施設の職員は,要請について辛抱強く対応してきた
被相続人は満足できる生活状況にあった
献身的な介護と言える

い 裁判所の判断|特別縁故者該当性

サービスと料金という対価関係はある
しかし『対価以上の献身的な療養看護』があった
→特別縁故者に該当する

う 裁判所の判断|承継財産の範囲

『相続財産の全部』を分与する
※高松高裁平成26年9月5日