【特別縁故者|判断基準|典型的な状況・関係性・経済的支援をした/受けた】

1 特別縁故者|判断要素|基本
2 特別縁故者|典型的な状況|生計同一・療養看護など
3 特別縁故者|典型的な関係性
4 特別縁故者|経済的支援をした者
5 特別縁故者|経済的支援を『受けた』者

1 特別縁故者|判断要素|基本

本記事では特別縁故者の該当性判断について説明します。
まずは判断要素の基本的事項についてまとめます。

<特別縁故者|判断要素>

あ 縁故の内容

ア 具体的実質的な縁故の濃淡→重視される ・被相続人と特別縁故者との縁故関係の厚薄,度合
・特別縁故者の年齢,職業
イ 形式的・抽象的な親族関係の遠近→重視されない

い 相続財産の内容

相続財産の種類,数額,状況,所在
※民法958条の3
※広島高裁平成15年3月28日
※我妻榮ほか『判例コンメンタール相続法』日本評論社p233
※『新版注釈民法(27)補訂版』有斐閣p729

2 特別縁故者|典型的な状況|生計同一・療養看護など

特別縁故者として認められる状況はある程度決まっています。
類型的な『状況』についてまとめます。

<特別縁故者|典型的な状況>

あ 被相続人と生計を同一にしていた者
い 被相続人の療養看護に努めた者

献身的な療養看護がなされたケース
看護師など,報酬を得て業務として行っている者
→原則的に否定される
ただし例外的な扱いもある

う その他の特別の縁故

血縁関係は必須ではない
葬儀など,死後の関係も考慮に入る
実例;老人ホーム・地方公共団体など
詳しくはこちら|特別縁故者|法人・社団|療養看護の事業者・施設

3 特別縁故者|典型的な関係性

特別縁故者として認められる『関係性』の典型例をまとめます。

<特別縁故者|典型的な関係性>

あ 内縁の夫婦

次のような場合,否定される傾向がある
ア 妾関係維持の目的がある場合イ 重婚的内縁関係の場合 ※岡山家裁昭和46年12月1日

い 事実上の養親子

※熊本家裁天草支部昭和43年11月15日

う 未認知の非嫡出子
え 叔父叔母

※大阪家裁昭和41年11月28日

お 継親子

※東京家裁昭和47年1月19日

か 子の妻

※大阪家裁昭和42年11月21日

き 従姉妹

※東京高裁平成26年5月21日
※東京家裁平成24年4月20日
※岡山家裁昭和46年12月1日

く 甥の配偶者

※東京家裁平成24年4月20日

け 相続放棄をした者

※北岡秀晃ほか『特別縁故者をめぐる法律実務』日本法規

4 特別縁故者|経済的支援をした者

特別縁故者は『内縁関係』以外の者も認められることがあります。

<特別縁故者|経済的支援をした者>

あ 判断の概要

被相続人に対して経済的援助をしてきた者
→『縁故が濃い』事情の1つとなる

い 判断の注意点

『単純なお金の貸し借り』→該当しない方向性
『精神的交流・絆』を伴う→該当する方向性

う 実例

仕送りその他による事実上の扶助が重視された
→特別縁故者としての財産分与が認められた
※大阪家裁昭和39年9月30日

5 特別縁故者|経済的支援を『受けた』者

生前『被相続人が特定の者の生活を経済的に支援・援助してる』ケースもあります。
この場合も『特別縁故者』の判断では重要な事情となります。

<特別縁故者|経済的支援を『受けた』者>

あ 判断の概要

被相続人から経済的支援を『受けていた』者
→『縁故が濃い』事情の1つとなる

い 判例|重視された事情

(被相続人が特定の者の)将来を案じていた
生活の安定を図ってあげたいと考えていたこと

う 判例|結論

特別縁故者として認められた
※神戸家裁昭和51年4月24日

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