1 死後事務委任委任契約→財産デッド・ロック回避
2 死後事務委任契約|特徴=自由度・意思能力喪失後の継続
3 財産管理契約・死後事務委任委任契約|契約の解釈論
4 死後事務委任契約×批判|遺言と機能が重複する

1 死後事務委任委任契約→財産デッド・ロック回避

認知症になった場合など『財産デッドロック』となって困るケースが多いです。
(別記事;リンクは末尾に表示)
回避方法として『死後事務委任契約』『財産管理契約』を利用するものがあります。

<死後事務委任契約・財産管理契約|典型例>

判断能力が低下する前に『財産管理契約』を締結する
信頼できる方に財産管理を委ねる
民法上の『委任』契約である
※民法643条

2 死後事務委任契約|特徴=自由度・意思能力喪失後の継続

死後事務委任契約の特徴をまとめます。

<死後事務委任契約|特徴>

あ 内容,方式が自由である

委任契約については,民法上,制限事項が少ない
→内容・方式の設定について,自由度が高い

い 主な種類・利用形態

ア 単独で利用する
イ 任意後見契約に付加して締結する

う 『意思能力喪失』でも契約は終了しない

契約は一般に,意思能力がないと無効となる
しかし,契約締結時以外では意思能力が要求されない
→契約締結の『後』に意思能力が欠けても契約は存続する

一方『委任者の死亡』については解釈の問題があります。
次に説明します。

3 財産管理契約・死後事務委任委任契約|契約の解釈論

法律上は『委任者の死亡』が終了事由となっています。
そこで『委任者の死後の事務委任』の効力が問題となります。
この解釈論・判例についてまとめます。

<死後事務委任契約|解釈論>

あ 『委任』の原則論

一般的な『委任契約』は『委任者の死亡』で終了する
※民法653条

い 死後事務委任契約の特殊性

『死後も存続する』という意思が認められる
→『死亡による終了』は適用しないという特約がある
※最高裁平成4年9月22日
※東京高裁平成21年12月21日

う 作成時の工夫

条項の中に『委任者の死亡により終了しない』と明記しておく
→解釈の争いを確実に回避できる

この点『任意後見契約』の場合『本人の死亡』により終了します。
これは法律上細かく規制されています。
これに反する合意,特約はできません。

4 死後事務委任契約×批判|遺言と機能が重複する

死後事務委任契約については,批判もあります。

<死後事務委任契約|問題点・批判>

本質的には『相続法秩序』と整合的ではない
※石川美明『高齢社会と葬儀・法要等の死後の事務』宗教法31号p101〜
※吉政知広『死後の事務の委託契約と解除の可否』私法判例リマークス42号p22〜

要するに,法律上用意されている『遺言』と機能が重複する,というものです。
ただ,死後事務委任契約が解釈上,無効となるわけではありません。