1 寄与分を具体化する手続|『協議→家事調停→審判』という流れ
2 『寄与分』と『遺産分割』の調停・審判の関係
3 『寄与分調停・審判』の申立タイミング|遺産分割との関係
4 『寄与分』の申立が遅いために『却下が発動』することは少ない

寄与分の基本的な事項は別記事で詳しく説明しています。
詳しくはこちら|寄与分の基本|故人への生前の支援・貢献が遺産分割で反映される
本記事では寄与分を具体化させる手続について説明します。

1 寄与分を具体化する手続|『協議→家事調停→審判』という流れ

寄与分は貢献度評価を伴います。
これを具体化させる手続は次のようになります。

(1)寄与分協議

相続人全員で寄与分の程度・評価について納得,合意すれば,それによって確定します。

(2)家事調停,審判

協議で決められない場合は家裁の手続を利用できます。

<寄与分の家裁の調停・審判|流れ>

あ 寄与分|手続の種類

『審判対象事件−別表第2事件』に分類されている
詳しくはこちら|家事事件|手続|種類・基本|別表第1/2事件・一般/特殊調停対象事件

い 事実上の調停前置

『寄与分』の調停・審判のいずれかを申し立てる
最初から『審判』の場合→家裁が『調停に付する』ことが多い
※民法904条の2第2項
詳しくはこちら|一般的付調停|事実上の調停前置・必要的付調停との違い

う 審判移行

調停が不成立となると『審判』に自動的に移行する
詳しくはこちら|審判移行|調停不成立後の訴訟提起|附帯事項・関連請求の併合

2 『寄与分』と『遺産分割』の調停・審判の関係

通常『寄与分』と『遺産分割』の調停・審判は『1セット』になります。

<寄与分と遺産分割|調停・審判手続>

あ 法律上の規定

法律上は『遺産分割』と『寄与分』の調停・審判は別の手続となっている
※民法907条2項,904条の2第2項
※家事事件手続法別表2『12・14』

い 実務上の扱い

『遺産分割』の調停や審判と『併合』される
※家事事件手続法192条

う 『寄与分』単独での手続

『遺産分割』なしで『寄与分』の調停・審判を独立して申し立てること
→できない
※民法904条の2第4項
※浦和家裁飯能支部昭和62年12月4日

遺産分割の手続については別記事で説明しています。
詳しくはこちら|相続手続全体の流れ|遺産確認・遺産分割の位置付け・『遡及効』のまとめ

3 『寄与分調停・審判』の申立タイミング|遺産分割との関係

セットになるべき『遺産分割・寄与分』がセットで申し立てていないケースもあります。
先に『遺産分割の調停』を申し立てる,というものです。
この場合『寄与分の調停』を後から申し立てることになります。
このタイミングについてルールがあります。

<寄与分と遺産分割の手続|申立が遅い→却下>

あ 寄与分調停・審判申立の督促

遺産分割調停・審判の担当する家裁が『寄与分調停・審判の申立』期間を指定できる

い 寄与分調停・審判申立が遅い→却下

ア 申立期間の設定あり
期限切れの申立→却下できる
イ 申立期間の設定なし
『帰責事由あり+手続が著しく遅滞する』場合→却下できる
※家事事件手続法193条

4 『寄与分』の申立が遅いために『却下が発動』することは少ない

実際には『寄与分の申立が遅い』という理由で却下されることはありません。
却下されるのは,ヒドい事情があるような場合です。

<寄与分調停・審判の申立が『遅い』理由での却下の実情>

あ 実務の傾向|却下しない傾向

申立が遅いことによる却下の発動は少ない
ア 期限切れの『寄与分の申立』を認めた
※高松高裁昭和62年8月14日
イ 遺産分割の『抗告審』段階での『寄与分の申立』を認めた
※高松高裁平成11年1月8日
※広島高裁平成6年3月8日

い 実務のレアケース|却下事例

調査官の調査拒否,裁判期日への出頭拒否などの事情があった
→その後に『寄与分審判の申立』がなされた
→家裁は却下した
※広島高裁岡山支部平成12年11月29日

このように『却下されにくい』ことに安心して対応が悪いと却下される実例もあるのです。
弁護士によってはこのような手続的なことに詳しくない人も多いです。
事案の内容・本質とともに手続的な部分にもしっかりと配慮することが『正当な権利実現』につながるのです。