1 最低賃金制の基本
2 最低賃金の違反の効果
3 特例許可による最低賃金の緩和(基本)
4 最低賃金の減額特例の主な減額率上限
5 最低賃金法と定額残業代制度(概要)

1 最低賃金制の基本

賃金の設定については,最低額のルールがあります。
本記事では,この最低賃金法について説明します。
最初に,基本的事項をまとめます。

<最低賃金制の基本>

あ 制度の基本的事項

国が賃金の最低限度を定める制度
地域別最低賃金特定最低賃金の2種類がある

い 具体的な金額設定

具体的な金額について
→都道府県別に厚生労働大臣or都道府県労働局が決定する
※最低賃金法10条,15条

2 最低賃金の違反の効果

最低賃金法のルールに違反すると,2種類の法的な効果が生じます。

<最低賃金の違反の効果>

あ 基本的事項

最低賃金を下回る賃金の合意について
→民事的・刑事的な効果が生じる(い・う)

い 民事的効果

違反した部分が無効となる
※最低賃金法4条1項

う 刑事責任

雇用主が刑事罰の対象となる
法定刑=罰金50万円以下
※最低賃金法40条

3 特例許可による最低賃金の緩和(基本)

最低賃金のルールには例外を認める制度があります。

<特例許可による最低賃金の緩和(基本)>

あ 基本的事項

一定の要件を満たせば特例許可がなされる
→許可により最低賃金の規制が適用されなくなる
減額率には上限がある(後記※1)
職種は限定されていない
※最低賃金法7条

い 許可手続

労働基準監督署に許可申請書を提出する
宛名=労働局長宛

い 実務の典型例

断続的労働について許可される実例が多い
例;宿直など

4 最低賃金の減額特例の主な減額率上限

最低賃金の減額許可については,認められる類型とその減額の上限,が決まっています。

<最低賃金の減額特例の主な減額率上限(※1)>

対象業務内容 上限減額率 最低賃金法・施行規則
試用期間中 20% 法7条2号,規則5条の表
軽易な業務に従事する者 業務の負担の程度に応じた割合 規則3条2項,5条の表
断続的業務(典型例=宿直) 待ち時間相当分の40% 規則3条2項,5条の表

5 最低賃金法と定額残業代制度(概要)

定額残業代制度という合理的な制度があります。
この制度の設計において,想定外に最低賃金法に違反するということが生じがちです。
定額残業代制度については別の記事で説明しています。
詳しくはこちら|定額残業代制度の意義と有効性判断基準(テックジャパン事件判例)