1 『労働時間』の種類|法定労働時間・所定労働時間
2 『法内残業』『法外残業』| 『残業』は2つに分けられる
3 『法内残業』『法外残業』|残業時間の算定例
4 『休日』は法律と就業規則等に定めるものがある
5 『休日労働』は『残業=時間外労働』として扱われる
6 年俸制|残業代が免除されるわけではない
7 『労働時間』の適用を受けない→『残業代対象外』となる制度もある

1 『労働時間』の種類|法定労働時間・所定労働時間

『労働時間』を超える部分が『時間外労働』,いわゆる『残業』となります。
法律上『労働時間』は2種類あります。

<『労働時間』の種類>

あ 法定労働時間

文字どおり『労働基準法』の規程
1日8時間・1週間40時間
※労働基準法32条

い 所定労働時間

ア 概要
就業規則や労働契約により会社ごとに設定する内容
『法定労働時間』よりも『長い』設定は禁止される
イ アレンジ
契約形態によって違う設定にすることが多い
例;アルバイトやパートについては,短い所定労働時間を設定する

2 『法内残業』『法外残業』| 『残業』は2つに分けられる

いわゆる『残業』には,法律上の扱いとして2種類があります。

<法内残業・法外残業>

分類 内容 労使協定 残業代支給
法内残業・法定内残業 所定労働時間超過・法定労働時間未満 不要 必要
法外残業・法定外残業 所定労働時間も法定労働時間も超過した部分 必要 必要

2種類の『残業』のいずれも『残業代(割増賃金)』が発生します。
また『法外残業だけ』は『労使協定+届出』がないと違法になります。
詳しくはこちら|時間外・休日労働×法規制|労使協定+労基署への届出|違反→刑事罰・是正勧告

『残業』を正式に言うと『時間外労働』となります。
なお『時間外労働』は『法定外残業のみ』を指す,という用法もあります。
しかし,一般的には『法定内残業・法定外残業』の両方を含めて『時間外労働』と言うことが多いです。
本記事でも一般的な用法で『時間外労働』の用語を使います。

3 『法内残業』『法外残業』|残業時間の算定例

『法内残業』『法外残業』のいずれも『残業代』の対象となります。
残業代計算の前提として『時間集計』が必要です。
残業時間の算定の実例をまとめます。

<法定内残業,法定外残業の算定例>

労働時間の区分 例1 例2
法定労働時間 法律上の規定 8時間 8時間
所定労働時間 就業規則,労働契約の規定 7時間 7時間
実際の労働時間 7.5時間 10時間
法定内残業時間 割増率= 0.5時間 1時間
法定外残業時間 割増率= 0時間 2時間

※『時間』については,1日の労働時間とする

4 『休日』は法律と就業規則等に定めるものがある

法律上,『休日』の規定があります。

<法律上の『最低限』の『休日』>

ア 原則;週1日
イ 例外;4週に4日
※労働基準法35条

これは『最低限』として設定されています。
これを元に,就業規則や労働契約において,具体的な設定,合意がなされることになります。

5 『休日労働』は『残業=時間外労働』として扱われる

いわゆる『休日出勤』のことを正式には『休日労働』と言います。
休日労働についても『労働時間を超過する労働』となります。
『労使協定の締結+届出』が必要になります。
また,割増賃金の支払対象となります。

6 年俸制|残業代が免除されるわけではない

『年俸制』の基本事項をまとめます。

<『年俸制』の意味>

あ 意味

年換算で賃金の額が決定されている

い 年俸制×残業代

『残業代が発生しない』ということではない(原則)

『年俸制』には『労働時間がオーバーしても固定額から上乗せはない』という趣旨は含まれません。
もちろん,『時間外手当を含む』という合意があれば,これは有効です。
その場合でも,内容によっては有効性が否定されることもあります。
例えば,『年俸の金額のうち,時間外手当となっている部分(金額)が明示される』などです。
詳しくはこちら|定額残業代|意義・有効性・判断基準・最低賃金との抵触

7 『労働時間』の適用を受けない→『残業代対象外』となる制度もある

一般的に『雇用に基づく労働』については,以上のような『労働時間』に関する多くの規制の適用を受けます。
しかし,いくつか,これらの全部または一部の適用を受けない制度,契約形態もあります。
このような『残業代の例外』をまとめておきます。

労働時間残業が全面的に適用されない場合>

あ みなし労働時間制

労働時間を予め定めた一定の時間とみなす制度です。
3種類が含まれます。
《みなし労働時間制の内訳》
ア 事業場外労働
※労働基準法38条の2
別項目;労働時間の把握をしない事業場外みなし労働時間制がある
イ 専門業務型裁量労働制
※労働基準法38条の3
ウ 企画業務型裁量労働制
※労働基準法38条の4

い 請負契約

請負契約は『雇用』ではない→労働基準法の対象外
ただし『実質的に雇用』判断もあるので注意が必要
別項目;契約形態が『請負』でも実質雇用だと,労働時間の規制→残業代支給必要,となる

う 監視・断続的業務の『適用除外申請』

看守など『休憩』時間に近い業務態様の場合
→例外的扱いとなる手続がある
別項目;監視,断続的業務について労働時間の規制を回避する適用除外申請

え 管理監督者

一定の管理者に該当すると『労働時間』の規定が適用されない
事情によっては『管理者』と判断されないこともあるので注意が必要
別項目;名ばかり管理職の場合は残業代支給が必要となる;判断基準

お 定額時間外勤務手当

就業規則・労働契約において,一定の『残業時間』を最初から『込み』にしておく制度
いろいろな意味で合理的がある
別項目;定額残業代の意義,有効性,判断基準,最低賃金との抵触