1 名の傍訓(振り仮名・基本)
2 傍訓を付する申出
3 傍訓のメリットとデメリット
4 傍訓の消除の方法

1 名の傍訓(振り仮名・基本)

名(名前)の振り仮名は日常的に使われています。
法律上,つまり戸籍における振り仮名は日常的な使いとは異なります。
本記事では戸籍における名の傍訓(振り仮名)について説明します。
戸籍上の傍訓は漢字ごとの読み方といえます。
ただし,正式な記載(記録)ではありません。
つまり,戸籍上の名の一部というわけではないのです。

<名の傍訓(振り仮名・基本)>

あ 傍訓の意味

『名』欄に記載する各字体に付するもの
漢字ごとの読み方である

い 『よみ方』欄との違い

届出の『よみ方』欄に記載されたものという意味ではない

う 戸籍法上の扱い

戸籍上の名の一部を構成するものではない
※斎藤秀夫ほか『注解 家事審判規則(特別家事審判規則)改訂』青林書院1994年p522

2 傍訓を付する申出

名の傍訓は正式な戸籍上の記録ではありません。
しかし実際に戸籍に記載(記録)する扱いがなされています。
具体的には,出所届などの提出の際に傍訓の希望の申出ができるのです。

<傍訓を付する申出>

あ 申出の制度

届出人は,特に傍訓を付する趣旨の申出をすることができる
明治時代以来の制度である

い 申出の方法の例

届出の『その他』欄において
戸籍に傍訓を記載されたい旨を記載する

う 役所の扱い(原則)

戸籍に傍訓を付する取り扱いをしている

え 役所の扱い(例外)

傍訓が名に用いた文字の音訓or字義にまったく関連を有しない場合
→戸籍にこの傍訓を付すことをしない
※斎藤秀夫ほか『注解 家事審判規則(特別家事審判規則)改訂』青林書院1994年p522

3 傍訓のメリットとデメリット

傍訓は正式な戸籍の記録ではないですが,正式な名に含まれる漢字の読み方を示すものです。
その意味では分かりやすくなるといえます。
一方で,正式な名と傍訓の両方を常にセットにすることが当たり前になると,手間が増える面も出てきます。

<傍訓のメリットとデメリット>

あ 傍訓のメリット

名の読み方を公に明らかにできる

い 傍訓必須化の傾向とデメリット

社会生活全般で『名+傍訓』が必須と考える傾向を生じた
→煩わしさがある
→傍訓の消除を希望する者が増加した
※斎藤秀夫ほか『注解 家事審判規則(特別家事審判規則)改訂』青林書院1994年p522

4 傍訓の消除の方法

戸籍に記録されている傍訓を消す希望も増えていました。
傍訓を消すためには,裁判所の許可が必要だった時期もあります。
しかし,そもそも傍訓は正式な戸籍上の記録ではありません(前記)。
そこで現在は裁判所の許可は不要であり,役所への届出だけで傍訓を消すことができるようになっています。

<傍訓の消除の方法>

あ 昭和10年代(変更or訂正)

名の『変更or訂正』手続によるべきものであった
※昭和12年2月16日民事甲154号司法省民事局長通牒
裁判所の許可を得る手続である
詳しくはこちら|名の変更許可制度の基本(規定・趣旨・現実的理由)

い 昭和50年(役所の判断)

本人or届出人から消除の申出があった場合
→市町村長限りで消除して差し支えないものとされた
※昭和50年7月17日民二第3742号法務省民事局長通達

う 昭和56年(本人限定)

消除の申出人は本人(名を有する者)に限定された
※昭和56年9月14日民二第5537号法務省民事局長通達