1 違法な命名の受理後の『訂正or変更』(総論)
2 父or母の独断での命名後の『訂正or変更』
3 独断命名後の名の訂正・変更の裁判例集約(概要)
4 人名用漢字外の出生届後の『訂正or変更』
5 人名漢字外を脱するための変更(許可見解;概要)

1 違法な命名の受理後の『訂正or変更』(総論)

法的に不適切な命名があります。
人名用漢字以外を用いる名や命名権の濫用やその他の個別的事情によるものなどです。
実際に違法な出生届が提出されるケースはあります。
不適法な出生届は,役所は本来受理しないはずです。
役所が不適切な命名に気付くのが早ければ,戸籍に名が記録されません。
具体的には出生届の受理・戸籍に記録する,というタイミングが限界です。
このタイミングを過ぎると,修正のためには原則的に家裁の許可が必要となります。
詳しくはこちら|命名権の基本(共同親権・名の確定時期=撤回・不受理の期限)
家裁の許可には名の訂正変更の2種類があります。
本記事では訂正と変更の手続の振り分けについて説明します。

2 父or母の独断での命名後の『訂正or変更』

共同親権であるのに一方の親権者が独断で命名することは違法です。
独断での命名の出生届が役所に受理された後には,原則的に『変更』許可が必要です。
命名の直後の申立であれば『訂正』許可も認められます。

<父or母の独断での命名後の『訂正or変更』>

あ 前提事情

親権者の一方のみで命名権or代理権を行使した
例;他方の親権者が不在であった

い 命名の有効性

命名が無効とは言えない場合もある

う 修正の方式(原則)

一般的には名の『変更』問題として扱う
子の利益を中心に考えて処理すべきである
※昭和43年10月福岡高裁管内家事審判官会同家庭局見解

え 修正の方式(例外)

戸籍の記録後短期間であれば
→『訂正』の手続が認められている
※大阪家裁岸和田支部昭和41年3月2日
詳しくはこちら|父or母の独断での命名後の名の訂正・変更の裁判例集約

3 独断命名後の名の訂正・変更の裁判例集約(概要)

父母の一方が独断で命名した後に名の訂正や変更が認められる実例は多くあります。
実際の裁判例について,別の記事で紹介しています。
詳しくはこちら|父or母の独断での命名後の名の訂正・変更の裁判例集約

4 人名用漢字外の出生届後の『訂正or変更』

人名用漢字以外の漢字が含まれる命名は戸籍法に違反します。
役所が誤って受理してしまった場合に,その後修正するには名の変更の許可が必要になります。
戸籍法には訂正許可の制度もありますが,これは原則的に利用できません。

<人名用漢字外の出生届後の『訂正or変更』>

あ 事案

当用漢字外の名の届出を誤って受理した
これを当用漢字による名に改める

い 協議会の見解(原則)

原則として戸籍訂正の許可申立によるべきではない
名の変更の許可申立によるべきである
※昭和25年8月3日戸籍事務連絡協議会協議結果

5 人名漢字外を脱するための変更(許可見解;概要)

人名用漢字以外を含む戸籍名を修正するには,名の変更許可が必要です(前記)。
具体例について,変更許可を認めるという公的見解があります。

<人名漢字外を脱するための変更(許可見解;概要)>

あ 事案

『宏子』という名の出生届がなされた
当用漢字ではない文字が含まれる
誤って受理された

い 名の変更許可

当用漢字である『正子』に変更することについて
→正当な事由がある
=変更を許可すべきである
※昭和24年5月28日大阪家裁家事部決議
詳しくはこちら|人名用漢字外を含む戸籍名から脱する名の変更