1 宗教名への変更の許可基準
2 再度の宗教名への変更許可の基準
3 マイナー・新興宗教と名の変更許可の傾向
4 神官・僧侶の改名と常用平易性(概要)
5 宗教上の名への変更の事例集約(概要)

1 宗教名への変更の許可基準

名の変更の実質的な理由にはいろいろなものがあります。
詳しくはこちら|名の変更許可制度の基本(規定・趣旨・現実的理由)
その1つに,戸籍名を宗教上の名に変更するというものがあります。
典型例は,僧侶となった者が『僧名』をもらったというケースです。
名の変更の手続を利用するメジャーなユーザーのクラスタといえます。
一般的にはこのような名の変更は許可されます。

<宗教名への変更の許可基準>

あ 申立数の傾向

宗教名への変更許可申立と許可について
→実例の数はとても多い

い 宗教名への変更の必要性

入信によって,その宗派に特有の名を持つに至ることがある
義務付けられることもある
布教も1つの社会的な活動である

う 判断基準

宗教の活動のための支障を解消することについて
→これも正当事由に該当する
※斎藤秀夫ほか『注解 家事審判規則(特別家事審判規則)改訂』青林書院1994年p513

2 再度の宗教名への変更許可の基準

例えば僧侶が所属寺院を変えると別の僧名になります。
『ダーマ寺院での転職』というゲームの世界の話しは現実にもあるのです。
そして,再度の名の変更の申立をすることになります。
これについての裁判所の判断は肯定・否定の両方の見解があります。
どちらかといえば,肯定する見解の方が主流であると思います。

<再度の宗教名への変更許可の基準>

あ 宗教名の再度の変更

名の変更許可を得てすでに僧名に変更した
属する宗教団体の宗規に基づいてさらに宗教名を変更した
再度の名の変更許可を申し立てた

い 定めの存在による判断基準

属する宗派において
昇級した場合に僧名を改める定めがある場合
→改名を許可する
※昭和25年5月22日大阪高裁管内家事事件研究協議会協議結果

う 宗規の妥当性による判断基準

宗規が社会的に妥当と認められる場合
→改名を許可する
※昭和27年8月7日家甲147号最高裁家庭局長回答

え 否定的見解

僧名に改名を許可された者について
さらに高い僧階に就いた場合
→改名の正当事由があるとは言えない
※昭和28年4月26日大阪家裁家事部決議

3 マイナー・新興宗教と名の変更許可の傾向

宗教上の名でも,特殊事情により名の変更が許可されないこともあります。
副業的な事例を前提として名の変更を許可しないという公的見解があります。

<マイナー・新興宗教と名の変更許可の傾向>

あ 前提事情

正当な宗教宗派に属しない寺院において
Aは副業的に宗教生活を営んでいる

い 判断基準

僧名に変更することについて
→許可すべきではない
※昭和27年3月20日大阪高裁管内家事事件研究協議会協議結果

4 神官・僧侶の改名と常用平易性(概要)

名の変更において,一般的に,変更後の名の常用平易性が判断に影響を与えます。
宗教上の名であっても,人名用漢字の範囲内であることが要求される傾向があります。

<神官・僧侶の改名と常用平易性(概要)>

神官・僧侶としての名に人名用漢字外が含まれる場合
→変更を許可すべきではない
※千種達夫『氏の変更 中川善之助教授還暦記念・家族法大系1』有斐閣1959年p265
※昭和25年4月25日大阪家裁家事部決議
詳しくはこちら|変更後の名の常用平易性と変更の許可基準

5 宗教上の名への変更の事例集約(概要)

実際に宗教上の名への変更が裁判所で審理されるケースは多いです。
具体的な実例の内容と裁判所の判断について,別の記事で紹介しています。
詳しくはこちら|宗教上の名(僧名・法名)への変更(裁判例の集約)