1 養子縁組無効の手続の分類
2 養子縁組無効の手続の当事者
3 当事者以外による申立
4 調停前置(概要)
5 合意に相当する審判(概要)
6 縁組無効訴訟の立証責任の分配

1 養子縁組無効の手続の分類

養子縁組の無効は,家庭裁判所が判断し,その後戸籍を訂正するという手続を要します。
本記事では,養子縁組の無効の裁判所の手続について説明します。
養子縁組の無効は,家事手続の分類では人事訴訟の対象であり,かつ特殊調停の対象です。

<養子縁組無効の手続の分類>

あ 家事手続上の分類

『訴訟対象事件−特殊調停対象事件』に分類される
詳しくはこちら|家事事件|手続|種類・基本|別表第1/2事件・一般/特殊調停対象事件

い 適用される主な規定

ア 調停前置(後記※2)
イ 合意に相当する審判(後記※3)
当事者の合意だけでは解決しない
ウ 人事訴訟
家事審判の手続は利用できない

2 養子縁組無効の手続の当事者

家事手続に関与する者,つまり当事者についてまとめます。

<養子縁組無効の手続の当事者>

あ 当事者による申立

申立人=養親or養子の一方
相手方=養親or養子のうち申立人以外の者
※人事訴訟法12条1項

い 当事者以外による申立(概要)

当事者以外が申し立てることもできる(後記※1)

3 当事者以外による申立

養子縁組の無効の調停や訴訟は,養親でも養子でもない者が申し立てることが実際には多いです。
当事者以外が申し立てる場合の当事者についてまとめます。

<当事者以外による申立(※1)>

あ 申立人

法律上の利害関係を有する第三者

い 相手方

ア 原則
養親+養子を相手方とする
イ 当事者の一方の死亡
一方が死亡している場合
→生存者のみを相手方とする
※人事訴訟法12条2項
ウ 当事者両方の死亡
養親,養子のいずれも死亡している場合
→検察官を相手方とする
※人事訴訟法12条3項

4 調停前置(概要)

養子縁組の無効に関しては,訴訟の前に調停を行うルールがあります。

<調停前置(概要;※2)>

養子縁組無効は訴訟対象事件である
訴訟より前に『調停』を申し立てる必要がある
=訴訟提起のためには『調停終了』が必要である
状況によっては例外的な扱いもある
※家事事件手続法257条1項
詳しくはこちら|家事事件の調停前置の基本(趣旨・不服申立)

5 合意に相当する審判(概要)

養子縁組無効の調停では,当事者全員の意見が揃っても解決するとは限りません。
裁判所が独自に事実を調査し,判断するプロセスは省略できないのです。

<合意に相当する審判(概要;※3)>

あ 当事者の合意

養子縁組無効の調停において
当事者が『養子縁組が無効であること』に合意した

い 裁判所の調査

裁判所が一定の事実調査を行う

う 合意に相当する審判

裁判所が『合意に相当する審判』を行う
→確定判決と同様の効力を持つ
※家事事件手続法281条
→戸籍の訂正が可能となる
詳しくはこちら|家事調停における合意に相当する審判(対象案件・要件・事実の調査)

6 縁組無効訴訟の立証責任の分配

養子縁組無効の調停が不成立で終わると,当事者は訴訟提起が可能となります(前記)。
養子縁組無効の訴訟では,一般の訴訟と同様に,当事者が立証する必要があります。
立証責任は無効を主張する者(原告)にあります。
つまり,養子縁組の当事者の意思などの立証が十分ではない場合は棄却となるということです。

<縁組無効訴訟の立証責任の分配>

あ 立証責任の分配

『ア・イ』の事項について
縁組の無効を主張する者(原告)に証明責任がある
ア 養子縁組の届出がなされていること
イ 当事者に縁組意思の欠缺があること
※松本博之『人事訴訟法 第3版』弘文堂2012年p415
※村重慶一ほか『人事訴訟の実務』新日本法規出版1987年p283

い 現実的な結果の例

立証の対象事実について十分な立証ができなかった場合
→請求は認められない(棄却となる)