【別居後の子供の奪い合い(誘拐罪の成立・子を引き取る・子と面会する手続)】

1 別居後の子供の奪い合い
2 別居時に子供を奪われた場合でも違法ではない
3 親権者でも強引な奪い取りは誘拐罪が成立する
4 監護権の指定と子の引渡の調停・審判による子供の取り戻し
5 子供との面会交流だけを求める方法もある

1 別居後の子供の奪い合い

子供のいる夫婦が別居した場合,子供を奪い合う状況が生じることが多いです。
子供を奪い取る方法によっては,親であっても誘拐罪が成立することがあります。
もちろん,家裁の手続として,適法に子供を引き取るものや子供と会うことを実現するものもあります。
本記事では,このような別居後の奪い合いの違法性や適法な方法について説明します。

2 別居時に子供を奪われた場合でも違法ではない

夫婦の間に離婚が成立していない時点では,原則的に「共同親権」となります(民法818条3項本文)。
別居中に母が子を引き取っている(連れ出した)場合でも,父が親権者であることに変わりはありません。
一方も親権者です。
父の親権を侵害したということにはなりません。

3 親権者でも強引な奪い取りは誘拐罪が成立する

別居中は,両親が対立していても,両方とも親権者です(共同親権)。
だからと言って,親権者として子供を奪い取ることがすべて許されるわけではありません。
レアケースですが,誘拐罪の一種が親権者に適用されたケースもあります。

親権者誘拐罪が適用されたケース>

あ 未成年者略取罪

親の制止を振りきって自動車を発進させた
※最高裁平成17年12月6日

い 国外移送略取罪

入院中の病院のベッドから足を掴んで逆さに吊り下げて奪った
※最高裁平成15年3月18日

4 監護権の指定と子の引渡の調停・審判による子供の取り戻し

離婚成立前は,夫婦の共同親権がある状態です。この段階でも,監護権自体を,父または母の一方に指定してもらう家庭裁判所の手続があります(監護権者指定の調停・審判)。
実際には,監護権者指定とともに子の引渡の調停・審判も同時に申し立てることが多いです。
しかし,監護権者の妥当性の判断は多少時間がかかりますし,必ずしも希望どおりに指定されないリスクもあります。
詳しくはこちら|親権者・監護権者の指定の手続(手続の種類や法的根拠)

5 子供との面会交流だけを求める方法もある

子供に会うことを最優先させる場合は監護権者は置いておいて,ストレートに子供との面会交流の調停・審判を申し立てる方が良いです。
一時的に子供と面会することを実現するための手続です。
詳しくはこちら|子供と親の面会交流の手続(調停・審判のプロセスと禁止する状況)

本記事では,別居後の子供の奪い合いについての全体的な法的問題を説明しました。
実際には,個別的な事情や主張・立証のやり方次第で結論が違ってきます。
実際に子供を父・母の両方が引き取ることを希望するような状況にある方は,みずほ中央法律事務所の弁護士による法律相談をご利用くださることをお勧めします。

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